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佐藤利奈:キャラクターと自分をすり合わせる作業が好き
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【本日のゲスト・佐藤利奈さん】 |
アニメ『マリア様がみてる』の武嶋蔦子役や『魔法先生ネギま!』のネギ・スプリングフィールド役でおなじみ。少年から女性まで幅広い役柄をこなしている。癒し系の声がファンのあいだで人気を博している。 |
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●とにかく変化のある職業に就きたくて……――まずは、声優を目指すようになったきっかけから教えてください。
佐藤 父親がいわゆる“転勤族”で、父の仕事の兼ね合いで引っ越しが多かったんですね。ふつう転校の多い子は「転校がイヤだ」と言いますが、私はまったくの逆で、引っ越すのがものすごく好きだったんです。もちろん、仲よくなった友だちと別れるのはさびしかったのですが、それ以上に新しい土地に行って新しい友だちに出会ったり、新しい方言に接するのがとても楽しみだったんです。で、「将来何になろうかな?」って考えたときに、パッと思いついたのが“変化のある職業に就きたい”ということでした。で、そんなことをおぼろげながら考えていたときに、小学校5年生くらいのときにテレビ番組で“声優”というお仕事を知ったんです。声優には、アニメのキャラクターはもとより、ナレーションやCM、ラジオ番組などいろんな業種がぎゅっと詰まっている。なおかつ収録現場がたくさんあるので、毎回同じ場所に行かなくていい(笑)。すぐに「これだ!」と思いました。それからずっと、将来の職業の希望欄には、
“声優”って書き続けることになりました。とくに「この作品との出会いが声優へのきっかけになった」というのがなくて、よく回りの人からは「何か微妙なきっかけだね」って言われます(笑)。
――それからは声優への道をまっしぐら?
佐藤 というわけでもなかったんです。「声優になりたい!」って声を大にして言いはしていたものの、演劇部に入るでもなし、放送部に入るでもなし、とくに何をするわけでもなく日々やれることをやっていたんです。具体的に声優になるためには何をしたらいいかわかっていなくて、まあ青春を謳歌していたんですね(笑)。で、高校を卒業するときに先生から「おまえ進路をどうするんだ?」と問われ、はたと現実に直面した。それで、「まあ、声優しかないだろう」ということで、当時住んでいた愛媛から東京に出てきたんです。そこから養成所にかよい始めたんですね。
――いきなり演技の勉強はたいへんではなかったですか?
佐藤 それがそうでもなかったんです。私はもともと絵本を読むのが好きで、本の世界に没入する傾向があったんですね。自分とは違うものになれるのがすごくうれしかったんです。声優にあこがれたことのひとつに、自分以外の何者かになれるから……というのも大きな要因としてありました。変身願望ではありませんが、犬でも猫でも男の子でも、自分以外のものになって人前に出ることができる。それってなかなか経験できることじゃありませんよね。だから、養成所にいるときは毎日が楽しかったですね。もちろん、演技がうまくいかなくて葛藤はあったのですが、戸惑いはなかったです。
――印象に残っている役柄は?
佐藤 いっぱいあります。みんな印象的な役です。じつはこれはずっと内緒にしていたのですが、私は役柄をいただいたら書いているんですね。専用のノートにタイトル名と役柄の名前を。なので、どの役柄もちゃんと覚えているんですよ。「どれだけそのキャラが好きなんだ?」みたいな感じで少し恥かしいのですが、どのキャラクターも私にとってはすごく大事な存在なんです。
――無理を承知で2〜3挙げるとすると?(笑)
佐藤 (笑)。そうですねえ……。まずは、テレビアニメ『ダイバージェンス・イヴ』(2003年)のプリム・スノーライト役。いちばん最初にいただいた役付きのキャラクターなのですが、当時はちょうど何回オーディションを受けてもダメなときで、「そろそろ役をとらなきゃダメだろう!?」という窮地に陥っていたときだったんです。そんなときに出会えた役で、プリム役を演じていなかったら、いまの佐藤利奈はなかっただろうな……という転機になった役です。プリム自体は天才で、口にする言葉もすごく難しくて世界観もかなり複雑と、とても演じ甲斐がありました。2004年にスタートした『マリア様がみてる』の武嶋蔦子役も、テレビアニメやCDドラマなどに展開して、付き合いの長いキャラクターになりました。あとは、やっぱり『魔法先生ネギま!』(2005年)のネギ・スプリングフィールド。初めての主役で初めての男の子役ということで、とても大切なキャラクターですね。奇しくも3人ともメガネをかけているキャラクターですね(笑)。
――3キャラとも、方向性がバラバラですね。
佐藤 まったく違う役でしたね。プリムはものすごく冷静で自分の感情を表に出さないキャラクター。武嶋蔦子ちゃんは心の赴くままに生きてカメラが大好き。気に入ったものはどんどん撮ってしまう……という猪突猛進型。そしてネギ君は、すべてに対して一生懸命という役でした。
――新しいことに挑戦していくために、意識的にキャラクターに変化をつけているのですか?
佐藤 そこはあんまり意識はしていませんでした(笑)。流れるままにいろんな役柄と出会わせてもらっています。その点に関しては、むしろ演じるキャラクターに「1本芯がとおっているほうがいいのかな?」と感じているくらい、演じる役がバラバラなんです。どちらかというと、「佐藤利奈だったら、こんな役がピッタリ」という芯みたいなものがほしかった。ただ、まわりの人にそういう悩みを打ち明けると、「何を言っているの? 何でもできるほうが楽しいんだよ。だから、何でもチャレンジしなさい」って言われるんですけどね。だから最近は、いろんな色が出せればいいかなって思っています。
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▲佐藤利奈さんの魅力が溢れるネギ・スプリングフィールド。画面は第二期テレビアニメの『ネギま!?』より。 |
●子供たちに夢を与えられるキャラクターを演じたい――演技をするうえで、大切にしていることはありますか?
佐藤 役柄と自分をすり合わせる作業かな。役柄によっては、自分のいままでの経験で表現できる感情もあれば、まったく未知の経験もあって、そういうときは、「これはどうやって表現すればいいんだろう?」って本当に悩みます。たとえば、『鋼鉄三国志』では劉備玄徳役を担当したのですが、ものすごく純真無垢な少年だったんですね、彼は。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと、はっきり言う男の子だったんです。ともすればイヤミに聞こえてしまいがちなセリフは、ただ単に素直な感情表現であって、それ以上でもなければそれ以下でもない。そんな無邪気さを26歳の佐藤利奈がどうやって出していけばいいのだろう……ということで収録時は毎回悩みました。
――そんな場合は、どうするんですか?
佐藤 とにかく台本をよく読みます。「この人はどうしてこうなるんだろう? なぜ、ここでこう言ってしまうんだろう?」というのを自分のなかで整理して、しっかりと整合性をつけるようにしています。台本を読んでいると、すとんと役柄が自分の中に降りてきて納得できる場合もあるのですが、自分の中にないものがあるキャラクターだと、しっくりとこない場合もある。そういうキャラクターをどうやって理解していくかというすり合わせの時間が、私はすごく好きです。
――台本と向き合う作業が大切なのですね。
佐藤 はい。ただ、芝居は最終的にはほかの役者さんとの掛け合いなので、現場へはぎりぎりまで作り込まずにいくことも重要です。人間は機械ではないので、その場の感情で変化したりする部分も多いんですね。音響監督さんや現場での声優さんとのやりとりを経て、役柄はできあがっていくものだと思っています。
――ゲームのアフレコのときは、また別ですね?
佐藤 そうなんです。ゲームのアフレコは単独で行うことが多いので、ゲームの収録こそきっちりと作っていきます。「相手はこう来るだろうな」と判断して演じるのですが、けっこう外すこともあります。相手がすごく高いテンションでこられていたのに、自分はすごく低いテンションで返してしまったりとか(笑)。そういう意味では、ゲームの収録はすごく難しいです。ただ、ゲームは自分だけで台本と向き合って没頭できるから楽しいです。プレイヤーの皆さんとの会話のようになる。じつは、台本を読んでいてブースで本当に号泣したことがあるんです。それは『風雨来記』というゲームなのですが、あまりに切なくて泣きました。収録のあとで、「もしかしてブースの中で真剣に泣いていました?」と聞かれて、「はい、泣いておりました」と答えたのですが、「それはこちらにも伝わりました」と言われて、思わずじーんときてしまいました。
――今後はどんな役柄を演じてみたいですか?
佐藤 もともと声優を始めるまえから男の子を演じてみたいと思っていたのですが、今後はもっともっと男の子を演じていきたい。自分の声質や芝居のせいもあるのでしょうが、いままでは小さい男の子の役が多かったので、少し年齢のいった男の子が演じられたら、自分の演技の幅が広がるかなと。あとは、子供に夢を与えられるキャラクター。テレビアニメ『ふしぎ星の☆ふたご姫』(2005年)に出演したときは、小さい子供が私の演じた役柄のコスプレをしてくれたり、まわりの友だちが結婚して、「子供といっしょに『ふしぎ星の☆ふたご姫』を見たけど、かわいかったよ」って言ってもらったりして、すごくうれしかったですね。私が子供のころに抱いていた物語に対する夢を、子供たちにも感じてほしいなって思っています。
※佐藤利奈さんの最新情報はこちらで
photograh:Daisuke
Komori
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