佐賀県武雄市の医院で今月8日に入院中の同市山内町、板金業、宮元洋さん(34)が拳銃で撃たれ殺害された事件で、佐賀県警が殺人容疑の逮捕状を取り行方を追っていた男が25日未明、福岡県大野城市内を乗用車で走行中に職務質問を受け、警察官ともみ合いになり、拳銃一発を発砲した。福岡県警筑紫野署は男を銃刀法違反(所持)容疑で現行犯逮捕した。
男は福岡市城南区東油山3、無職、今田文雄容疑者(61)。また同署は、今田容疑者の乗った乗用車を運転していた福岡市博多区博多駅南2、無職、鳥井敏子容疑者(44)を覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕した。
佐賀県警は現場の病院の防犯カメラに映っていた男と今田容疑者が似ているとの情報が寄せられたことなどから事件に関与した疑いが強いとみて、捜査していた。今田容疑者は事件前後に女と行動を共にしていたことが目撃情報などから判明しており、県警は、この氏名不詳の女についても殺人容疑で手配していた。両県警は鳥井容疑者がこの女の可能性もあるとみて調べている。
今田容疑者は指定暴力団道仁会系の組織に所属しているとの情報もあり、福岡県警が調べていた。宮元さんは、以前に同じ病室に入院していた暴力団関係者と人違いで拳銃で撃たれ殺害されたとみられており、県警は今後、事件のいきさつや動機を追及する方針。
調べでは、今田容疑者は25日午前0時50分ごろ、福岡県大野城市御笠川1のネットカフェ駐車場で回転式拳銃1丁を所持していた疑い。また、鳥井容疑者は職務質問を受けた際、バッグの中に微量の覚せい剤を所持していた疑い。
筑紫野署によると25日午前0時50分ごろ、県警自動車警ら隊のパトカーが、駐車場付近の路上を走行する白っぽい乗用車を発見。パトカーを見てUターンするなど不審な動きをしたため、隊員が同駐車場内で車を停止させた。警ら隊員が助手席から降りていた今田容疑者に職務質問を始めたところ、左脇腹付近に隠し持っていた回転式拳銃1丁を取り出そうとしたため、隊員が制止しようとして、もみ合いになり、今田容疑者は上空に向けて1発を発射したという。
その後、身体検査をしたところ、今田容疑者は上着の内ポケットにも別の回転式拳銃1丁を隠し持っていた。実弾も二十数発所持していた。
筑紫野署の調べに対し、今田容疑者は「拳銃を2丁持っていてたぶん本物だと思う。もみ合っているうちに誤って発射してしまった」と供述。鳥井容疑者は「(覚せい剤は)私のものではない」と容疑を否認している。また、今田容疑者ももみ合った際に、白い粉を落としている。
毎日新聞 2007年11月25日 9時32分 (最終更新時間 11月25日 12時54分)