<<ニュースの深層>>
コミューター航空のエアトランセに異常な融資を繰り返し重ねた
(株)ハコセン、かつての協同組合函館専門店会
今年3月末までのたった9カ月間に10回、計17億3千8百万円を融資!
貸付残高(エトランセの借入)巨額の14億1千万円余
「ハコセンに背任、エアトランセに詐欺などの疑いがあるのでなかろうか」との指摘も
女性起業家としていいだけもてはやした新聞・テレビなどの一般マスコミ
函館の駅前・大門商店街が繁盛していた頃のかつての協同組合函館専門店会、現在の(株)ハコセン(函館市千歳町19−1、資本金1億円、辻憲一代表)が、コミューター航空のエアトランセ(本社・函館、代表取締役会長・江村林香氏、同社長・中山淑惇氏)に対して異常な融資を繰り返し、融資を重ねていた実態が本紙入手の決算資料や関係者の話で明らかになった。
今年6月までハコセンのトップであった寺井恒彦前代表主導のもと、判明しているだけでも今年3月末までのこの9カ月間、エアトランセに10回にわたって計17億3千8百万円を融資し、今年3月31日現在の融資残高(エアトランセ借入残高)は14億1、071万9千円の巨額に達している。
このハコセンの過剰融資問題(内部対立を含む)については地元の週刊経済紙が報じ(経済ジャーナル8月15日付)、巷間伝えられていたハコセンの元社員4名が今年7月に融資を担当した同社役員を相手取って関係当局に告発状を提出したことはじめ、部課長クラス16人が7月末に退職したこと、及び前代表の寺井恒彦氏が7月27日の同社総会で退任したこと、また専務取締役であった竹ヶ原克司氏が取締役に降格したこと、等々が明らかにされた。
そして今回、過剰融資の実態状況の一部が判明したもので、エアトランセ側の借入資料によると(借入日、種別、借入先、借入金、適用の順)、
▼2006年5月31日 短期 ハコセン 4億5千万円 運転資金
▼2006年7月28日 短期 ハコセン 1億円 運転資金
▼2006年7月28日 短期 ハコセン 7千5百万円 運転資金
▼2006年8月10日 短期 ハコセン 1千5百万円 運転資金
▼2006年8月24日 短期 ハコセン 4億5千万円 3号機購入資金
▼2006年11月30日 短期 ハコセン 4億2千万円 運転資金
▽2006年12月21日 短期 プリムローズ 2千5百万円 運転資金
▽2006年1月23日 短期 エアードルフィン 5千万円 運転資金
▼2007年1月31日 短期 ハコセン 1億円 運転資金
▼2007年2月27日 短期 ハコセン 1千万円 運転資金
▼2007年3月26日 短期 ハコセン 1千8百万円 運転資金
▼2007年3月30日 短期 ハコセン 1億円 運転資金
という状況で、たった9カ月間にまさしく異常なハコセンの融資が重ねられ、すなわちエアトランセの借入が行われていた。日時を見ても希にみる異常さが分かる。
判明しているだけで17億3千8百万円になるが、金融機関筋から水面下でささやかれているところでは20億円にも上るという話も聞かれる。ハコセンだけが異常に巨額融資し、あたかもメイン銀行のような様にある。ただし、銀行融資でも普通このような出し方は考えられない。まさしく超異常であろう。
エアトランセの3月末現在の主な借入先は、(株)ハコセン14億1、071万9千円、商工組合中央金庫6、477万円、北洋銀行3、498万8千円となっており、ハコセンの超異常な巨額融資、のめり込みの具合が浮かび上がっている。
ハコセンの貸付明細では、旅客運輸への貸付残高(3月31日現在)として14億1千万円を計上している。貸付の2番目は老人・介護業種で5億5千8百万円となっているから、その突出ぶりが際立っている。
これら異常な垂れ流し貸付による焦げ付きによってハコセンの今年3月決算は前期の1千万円黒字決算から一転して4億5、782万8千円の赤字に転落した。
そして、地元経済界の一部からは「ハコセンは危機的状況に陥っている」とか「すでにメイン銀行が手を引いたらしい」との話が流れている。
一方のエアトランセについても、一般紙やテレビなどのマスコミ(加えて、東京のシンクタンクや経営コンサルなども)がエアトランセが函館に登場して以来(エトランセは函館にとっていわゆる「よそ者」)、代表者・江村林香氏(39歳)が女性であることなどを持ってして異常にもてはやし、中には特番を組んで女性起業家の「初の○○」とかなどと、女「英雄」視扱いをし続けた。
シンクタンクを名乗る東京の某関係などは「1千億円を目指す!日本初の女性航空会社社長・江村林香の起業家人生」などとバカ騒ぎしたりした。
ところが、無知とも言える市場需要・環境を度外視した路線開設などによって経営状況が火の車であったことは知る人ぞ知るところであったわけで、その実態が借入状況の推移等で垣間見せるものとなっている。
エアトランセは当初開設の函館ー帯広線はじめ、次々に開設した路線全てを搭乗率不振で次々に運休。すでに道内路線から全て撤退し、皆無となり、現在は仙台線(乗り合い便)などを飛ばしている程度に過ぎない。
また同社にあっては、女性社長としてマスコミがいいだけもてはやした江村林香社長は路線休止や経営不安説などのどさくさを尻目に逃げる格好で社長を退き、江村氏の夫の中山淑惇氏(36歳)が社長に就任し、現在に至っている。
ただ、江村氏は現在も代表権を持つ取締役会長であり、「責任は決して免れるものでない」(事情通)といわれている。
どうしてこのようなことになったのか。寺井前代表や竹ヶ原前専務らハコセン役員幹部とエアトランセの女前社長・江村林香氏(現代表取締役会長)との間で何があって、何が行われていたのか…???
真相が問われるハコセン巨額融資問題、そして一般紙・テレビの一般マスコミが見る目を全く持たず、もてはやしたエアトランセ問題であり、経済界の一部や事情通からは「ハコセン役員については背任、エアトランセについては詐欺などの疑いがあるのでなかろうか」との指摘も出ている。
※写真上左/2005年3月、函館ー帯広線の初就航であいさつした江村林香エアトランセ社長(現会長)。
あれからたった2年と少しで次々に開設した道内路線から全て撤退を余儀なくされた。
この初就航1年余りの後、江村氏はハコセンから金を引き出し、その額ついに17億円を超えた。
この間、一般マスコミは異常にもてはやした。
(函館電子新聞有料サイト/特報・ニュースインサイド19.9.26付より)
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