【社説】「政権交代なら戦争が起きる」という金大中前大統領
金大中(キム・デジュン)前大統領は22日、与党系勢力の支持者が集まる行事に出席し、「6カ国協議の成功や北朝鮮と米国の国交樹立、南北大発展時代を実現する政権を誕生させるのか、あるいは過去に逆戻りする政権を誕生させるのかという岐路にさしかかっている」とするとともに、「(政権が交代すれば)民族の運命を左右するのはもちろん、戦争への道に進む可能性もある」と語った。戦争になるのが恐ろしければ、与党系の候補に投票しろという話だ。
かつて大統領を経験した者として、特定の政党への支持を求めて演説する権利はあるだろう。だが金前大統領は自らが誰それを支持するというだけにとどまらず、与党系勢力の選挙運動における総監督のような役割を買っているだけに、それほど単純な話ではない。金前大統領がまったく意に介していない以上、どうこう言える問題ではないが、だからといって「政権が交代すれば戦争が起きる」といった発言で有権者を脅して良いものだろうか。こうした根拠のない話を耳にタコができるほど聞かされる身にもなってほしい。
金前大統領はかつて「もはや韓半島(朝鮮半島)に戦争は起きない」と宣言した人物だ。2000年に南北首脳会談を終えて帰京した際、金前大統領は韓半島に平和が実現したかのような大げさな発言を行った。だがその後、韓半島では平和が定着するどころか、核実験が行われ、北朝鮮が核保有国として行動し始めた。
それからというもの、金前大統領や与党系勢力の関係者らは「戦争は起きない」と言う代わりに、「北朝鮮を圧迫すれば、戦争が起きるかも知れない」と発言し始めた。北朝鮮への制裁や北朝鮮の人権問題が提起される度に、「では北朝鮮と戦争しようとでも言うのか」とし、大げさに反応し始めたのもこの頃だ。ついには与党の議長(代表にあたる)を務めた議員までが「党内ですら『戦争しようとでも言うのか』と駆け寄ってくるとは情けない」と語ったほどだ。それがついには「政権交代が起きれば戦争になる」という発言にまでエスカレートしたのだ。
歴史的に見ても戦争とは、相手にカネや物資を宛がい、嫌われるようなことを一言も言わなければ起きないというわけではない。戦争は太陽政策を中断することで起きるのではなく、軍事的な抑止力がなくなったときに起きるのだ。太陽政策の転換よりも、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が決定した戦時作戦統制権の移管や韓米連合司令部の解体のほうが、よほど戦争の危険性を高める政策なのだ。2002年には西海交戦で兵士6人が戦死したにもかかわらず、韓国軍の統帥権者だった金前大統領はワールドカップの試合が開かれる日本に向かった。こうした行為こそ、戦争を招きかねない行為だ。
実際には金前大統領が「政権が交代すれば戦争が起きる」と叫べば叫ぶほど、与党系勢力への支持は萎んでいくことだろう。
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