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火元は1階の洗面所か 神戸の母子4人死亡火事

2007年11月06日

 神戸市須磨区南町1丁目の同市職員杉岡雅広さん(37)方で5日朝、妻嘉子(よしこ)さん(37)と娘の3姉妹が亡くなった火事で、火元は普段火の気がない1階の洗面所とみられることが、兵庫県警須磨署と神戸市消防局の調べでわかった。2、3階のカーペットなどにもそれぞれ1平方メートルずつの不自然な焼損が点在していたことが判明。県警は、失火以外の可能性もあるとみて慎重に捜査している。

間取り図   

 調べでは、4人は救助時、3階東側の寝室で発見された。嘉子さんと長女文菜(あやな)さん(9)、次女実季(みき)さん(7)、三女茉由(まゆ)ちゃん(5)が並んで布団をかけ、意識を失っていたという。県警は、遺体の司法解剖を進めており、嘉子さんと文菜さんの死因を一酸化炭素(CO)中毒と断定。ほかの2人もCO中毒死の可能性が高いという。

 現場検証の結果、外部から侵入した形跡や油をまいたような跡は見つかっていないという。火が出た時、夫の雅広さんは出勤して不在だった。

 杉岡さん方は、1階(約40平方メートル)の北側にある洗面所の約10平方メートルが激しく燃えていた。火は密閉された屋内で大きく燃え上がらず、不完全燃焼の煙が充満。洗面所のすぐ西にある階段を煙突のようにして通って、3階寝室に達したとみられる。救出時、3階には濃い煙が立ちこめていたという。2階と3階にも、延焼とは考えにくい小規模な焼損が点在することから、県警は出火原因の特定を急ぐ。

 改正消防法で、06年6月以降に着工した新築住宅にも火災警報器の設置が義務づけられた。杉岡さん宅は99年に建てられ、警報器はつけられていなかった。東京理科大学火災科学研究センターの菅原進一教授は「最近の住宅は、省エネのため熱が逃げる開口部を減らす傾向にあり、煙突の中に人が住んでいるような状態だ。3階建て住宅でも、危険性は高層ビルと同じだという認識を持って欲しい」と話す。

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 地元自治会は5日夜、現場前に長テーブルを使った献花台を設置した。

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