いじめ撲滅へ、英でネット使った試み
日本と同様、子どもたちのいじめの問題が深刻なイギリスで、いじめをなくすための国を挙げた取り組み「いじめ撲滅週間」が行われています。インターネットを使った新しい取り組みを取材しました。 今年で4年目を迎えたイギリスの「いじめ撲滅週間」。今回のテーマは“地域でのいじめ”です。 「いじめは学校内だけの問題ではない。通学中、自宅、週末に起きるいじめも問題です」(ボールズ児童・学校・家庭担当相) 政府による最新の調査では、35%の子どもが「学校の外」でいじめにあった経験があり、また、半数以上がいじめは「学校の中」より「学校の外」で始まることが多い、と答えています。 いじめが起きる前に何ができるのか。イギリスの中部では、インターネットを使ったある試みが始まりました。 「クラスで旅行に行く」。こんな場面設定から、ゲームのようにプログラムは始まります。 <Q.バスに乗る時、新しい転校生がいたらどこに座りますか?> <Q.旅行中に友人同士のけんかを見たら、どうしますか?> 次々出される問いに、子どもたちは話し合いながら答えていきます。 「どうする?」「先生に言おうかな? そうしたら来てくれるかもね」(参加した女子生徒) <Q.「お前は気持ち悪い」と友人に言われたら、どう感じますか?> 「結構むずかしい質問だったね」「どんないじめだったのか答えないといけなかったね」(参加した男子生徒) これをきっかけに、友人関係といじめについて、子どもたちにより深く考えさせることが目的です。 「いじめについては自信がなくて皆の前で話ができない子どももいます。このシステムの良い所は、少人数の子どもたちと専門家の間で秘密の相談ができるところです」(授業を担当する教師) もう1つのポイントは、地域社会とのつながりです。授業の講師は、実は地元警察の少年犯罪担当官。地区内のほとんどの学校のコンピュータが地域の警察や教育専門家に直接つながり、双方向のやりとりが可能になっています。 「いじめの止め方を知る大人に相談できるのは、本当にいい方法だと思う」(参加した女子生徒) 「警察の人が答えていると感じずに相談できるのは、とってもいいです」(参加した男子生徒) 「警察が関わることで、いじめ対策でよい成果が出ます。また、いじめがより深刻な犯罪に結びつくこともわかりました」(ケンブリッジシャー警察 少年犯罪担当官) こうしたイギリスの試みには、警察を含めた地域社会全体でいじめ対策を進めようという姿勢が反映しています。(23日16:33)
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