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大晦日Dynamite「桜庭VS船木」に今さらの声
K―1と同じくFEGが主催する大晦日恒例の格闘技イベント「Dynamite!!」は先日、今年のメインイベントが桜庭和志VS船木誠勝だと発表し、格闘技ファンの間で「何を今さら!?」との声が飛び交っている。
これがもし、7年前に実現していれば正真正銘のビッグマッチだったけど…と思う人も多いだろう。何しろ船木は引退後7年ぶりの復帰だ。引退選手の突然メーン登場に違和感は大きい。 船木はラストマッチであるヒクソン・グレイシー戦で、いいところなく絞め落とされたが「キャリアのほとんどが真剣勝負ではないので当然の結果」と専門家に酷評されていた。
一方、桜庭も全盛期は過ぎた印象が否めない。憎めないキャラクターでいまだ人気も根強いが、グレイシー一族を連覇したのは7~8年も前の話だ。
去年大晦日の秋山成勲戦は、秋山の卑怯な反則行為で同情票が集まったが、今年6月には宿敵ホイス・グレイシーにリベンジを許してしまっている。体の故障も多く「ひざのサポーターがないと正座もできないほど」と専門誌記者は指摘する。
FEGは、2人の勝者をヒクソンと対戦させたい意向も示したが、これまた“懐かしい名前”だ。47歳と年齢的にも引退寸前で、興味は不敗神話を壊すことに対する期待ぐらい。まるでシニア大会のような図式になった理由を前出の専門誌記者はこう明かす。
「最近はFEG関連の視聴率も低迷し、2桁維持がやっとの11%程度。開催するだけでスポンサーが集まった昔と違い、今回は大会2カ月前までにメインカードを決めなければなかったらしい。それで吉田秀彦やエメリヤーエンコ・ヒョードルの獲得も狙ったがうまくいかず、今回はヒクソンの担ぎ出しも見送られた」
一説には、桜庭と船木の対戦はそのヒクソンが希望したともいわれる。
「自分が戦ってもよさそうな2人を戦わせ、勝者の力量を見て勝てそうだと思ったら契約するそうだ」
400戦無敗という内訳のよく分からない怪しい触れ込みで、真剣勝負の経験乏しいプロレスラーを次々と下し、実力以上に幻想が膨らんだ感のあるヒクソン。
ファイトマネーの交渉もシビアで、まるでボクシングの亀田家の手法と重なるという。TBSの取締役が、この大会について、亀田騒動を引き合いに出し、「ボクシングと違ってちゃんとした大会」と発言したのは、いろんな意味で失笑ものなのだ。
(格闘技ジャーナリスト・片岡亮)(2007.10.30紙面掲載)