◇06年警部補セクハラ、05年事務職員は盗撮
県警から2件発覚した職員の破廉恥な不祥事。男性警部補が06年、同僚女性へのセクシュアルハラスメントで戒告処分となり、男性事務職員も05年に盗撮行為で書類送検されていた。いずれも当時、県警は公表しなかった。小方政司首席監察官は「警察庁の指針に従って対処した」と説明している。【山口圭一】
県警監察課によると、40代の事務職員は05年11月3日午後、盛岡市のレンタルビデオ店で、女性のスカートの中をカメラ付き携帯電話で撮影。別の客が不審な動きに気付き通報した。パトカーが駆けつけたが、逮捕はしていない。その後、県迷惑防止条例違反容疑で書類送検され、同年11月30日付で6カ月の減給処分となり、依願退職した。
40代の男性警部補は06年3月8日、盛岡市の飲食店で同僚女性の胸を触るなどした。同席した同僚らの指摘で発覚し、同5月19日付で戒告処分になった。
同課は、2件の不祥事を公表しなかった理由について、▽被害者らのプライバシーに配慮した▽逮捕されていない▽職務上の不祥事ではなく私的な場で起きた--と説明している。
警察庁の不祥事の発表指針では、「私的行為による懲戒処分は停職以上を公表する」と規定。小方主席監察官は「隠ぺいする意図はない。逮捕や停職以上の懲戒処分を受けておらず、指針では公表の対象になっていない」と述べる。
監察課によると、事務職員は、任意の取り調べで、盗撮を認め携帯電話も提出したため逮捕しなかった。警部補の場合は、女性が被害届を出しておらず、刑事事件としなかった。
同課の高橋俊一次長は「逃走する恐れがなく、証拠隠滅を図ることもないため、逮捕する要件に当てはまらない」と説明する。
警察官の不祥事隠ぺいが相次いだことから、総務省行政評価局は03年、対策を警察庁に勧告。「公表が的確に行われなかったケースが続いたことにより、国民の不信感を増幅する結果となった」と指摘した。同局の調査によると、97~99年の3年間に懲戒処分や諭旨免職が行われた11県警の113件にうち、減給や戒告で各77・1%が、諭旨免職でも31・6%で公表されている。
警察庁の指針では、「発表基準に該当しないものでも、警察の信頼確保のため必要な場合は発表する」との規定がある。神奈川県警は05年8月、盗撮行為など警察官の破廉恥な不祥事について、県民の批判を受け、原則公表するよう方針を転換した。
毎日新聞 2007年11月23日