兵庫県香美町でスッポンの養殖をしている小代内水面組合が、スッポンの稚ガメを無許可でペット用に販売したとして県の指導を受け、稚ガメの販売中止に追い込まれていたことが21日、分かった。「食べごろになれば、調理を引き受ける」という触れ込みで話題を集めた町おこし事業だったが、県は「ペットを食べるのは動物愛護の精神にも反する」と指摘。組合は「法律である以上、守らなければならない」と肩を落としている。
香美町小代地区はスキー場や温泉地に隣接しており、冬場の特産品にしようと昭和50年からスッポンの養殖をスタート。町内の旅館でスッポン鍋を提供してきた。
組合が稚ガメをペットとして売り出したのは2年前。稚ガメの孵化(ふか)が予想以上に成功したことがきっかけだった。
同町小代地域局の担当者は「養殖施設の広さに限度があったため、ペットとして売ろうというアイデアが組合から出た。おもしろい町おこし事業になると思った」。
稚ガメは水槽に28度の水を張り、市販のコイのえさなどを与えれば、4〜5年で体長30センチほどに成長。組合では、1匹300円で販売し、「大きくなって飼うのが難しくなれば、調理を引き受ける」との触れ込みだった。京阪神の観光客の間で人気となり、一昨年は約300匹、昨年は約800匹が売れたという。
今年は8月下旬から1匹500円で販売していたが、9月に入り、販売をマスコミ報道で知った市民から、県動物愛護センターに「ペットを食べるのは動物愛護の精神に反するのではないか」という指摘が相次いだという。
このため、同センターが調査したところ、組合が動物愛護管理法で定めた動物取り扱い業の登録をせずに、稚ガメをペットとして販売していることが判明。販売をやめるように指導したところ、組合は直ちに中止したという。
同センターの担当者は「登録をせずに、かむ力の強い危険な動物を販売していたことも問題だが、そもそも家畜ではなく、ペットとして育てたものを食べてしまうという発想はいかがなものか」と苦言を呈する。
組合の増田時雄組合長は「県の指導を受け、ペットとして販売を続けるには許可が必要なことを初めて知った。すでに稚ガメを購入された方には食べごろになれば養殖したスッポンと交換して対処したい。(育てたスッポンを食べるという)購入した方の意思とは異なる結果になるかもしれないが、理解してもらいたい」と話している。
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