◇激務続きで看護師退職
経営危機に陥っている館山市の「安房医師会病院」(上村公平院長)を運営する安房医師会の宮川準会長は22日、館山市で記者会見し、同病院の今後の再建計画などを明らかにした。
同病院は1964年に最初の医師会病院を館山市湊に開設。当時は24時間の救急医療を実施していなかったことなどから、経営は順調で黒字が続いていた。
旧病院が老朽化したことなどから、00年6月、同市山本に新病院を建設。安房地域の開業医などの会員(416人)で組織する同医師会が運営している。
新病院では救急医療を始めたため、医師や看護師の労働条件が厳しく、昨年から退職者が相次いだ。患者を受け入れていた一部病棟の閉鎖を余儀なくされるなど、病院運営は悪化し、現在は5億円の負債を抱え、毎年1億円を返済しているという。経営再建のため、外部の有識者などで組織する「医師会病院経営改革委員会」が今後の病院の再建を協議している。
会見で宮川会長は「医師会病院が経営不振に陥った最大の原因は救急医療を始めたこと。看護師が激務に耐えられずに数十人退職した。病院を継続させるため医師や看護師の補充に努めているが、確保は困難。現在のままではいつ病院が倒産するか分からない。なるべく早い時期に病院を引き継いでくれる法人を公募したい」などと語った。【桜井憲司】
毎日新聞 2007年11月23日