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【溶けゆく日本人】快適の代償(9)機器の魔力 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:溶けゆく日本人
■便利さが自分を見失わせる
方向音痴を自認する大阪市の主婦、横山清子さん(52)=仮名=は車を運転するとき、カーナビゲーションシステムに頼りっきりだ。地図を広げたり、人に道を尋ねたりしなくても、カーナビだと運転しながら必要な道路情報が即座に得られ、目的地までスムーズに案内してくれる。使用歴は8年にもなる。ところが最近、使っていて不安に感じることがある。
大阪府内の高速道路を走っていたときのことだ。「○○出口、あと△△メートルです」。ナビの音声がこう伝えたときには、出口への分岐点を過ぎようとしていた。急なハンドル操作はできず、結局、下りるのをあきらめ、次の出口に向かった。
スピードを出している場合など、ナビの指示とハンドルを切るタイミングが合わないことがあるという。音声指示で「400メートル先、信号を右へ」といわれ、行き過ぎそうになり慌てて曲がったこともあった。
また助手席に乗せた友人が近道を教えてくれたにもかかわらず、「機械は間違えない」と信じてカーナビが指示した道を通ったところ、遠回りになった経験もある。
「以前より自分で道を覚えようとしなくなったし、カーナビに頼りすぎるのも問題かも。それでも、運転するときは手放せないのですが…」
横山さんはそう話す。