世界最新医療ニュース

2007年11月22日

【今日のニュース】卵巣腫瘍の良性悪性判定は血液検査よりも超音波が有用

ブックマークに追加する RSS Feed


 卵巣腫瘍が良性か悪性かを診断するには、血液検査よりも超音波検査の方が優れていることが、国際卵巣腫瘍分析(International Ovarian Tumor Analysis, IOTA)共同研究グループにより示され、米医学誌「Journal of the National Cancer Institute」11月13日号に掲載された。

 米国癌協会(ACS)によると、2007年には新たに2万2,430人が卵巣癌(がん)と診断され、1万5,280人が死亡すると予測されている。卵巣癌は主に55歳以上の女性に多く、症状は腹部腫脹、骨盤痛や腹痛、食欲不振、満腹感、頻尿などがみられる。しかし、こういった症状は癌がそれほど進行していない状態でもみられるため、卵巣癌が初期段階で見つかるケースは約20%にとどまり、早期発見技術の開発が重要な課題となっている。

 今回の研究で、ベルギー、ルーヴェン・カトリック大学Katholieke Universiteit LeuvenのDirk Timmerman博士らは、女性1,066人に見つかった卵巣腫瘤について超音波検査と血液検査を用いて良性か悪性かを判断し、その結果を比較した。腫瘍摘出手術から120日以内に経膣グレースケール(階調)およびカラードップラーを含む超音波検査を実施し、手術前に809人から血液を採取して卵巣癌のマーカー(指標)とされる蛋白(たんぱく)CA-125の値を調べた。その結果、超音波検査では癌性の腫瘍と非癌性の腫瘍を93%正確に区別できたのに対し、血液検査の正確さは83%であった。

 この研究は、あくまでもすでに見つかっている腫瘤が癌性かどうかの判断方法を検討したものであり、スクリーニングとは異なる点をTimmerman氏は強調している。スクリーニングについては、現在2件の大規模な研究が実施中で、将来的に血液検査の有用性が裏付けられる可能性もあるという。しかし、今回の研究の結論としては、卵巣癌の多くが超音波検査で発見され、悪性かどうかの判断でも超音波が優れていることから、CA-125検査は診断の正確さの面でプラスにならないと同氏は述べている。

 一方、医学誌「International Journal of Cancer」11月15日号に掲載された米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH、ボストン)の研究では、フラボノイドの一種であるケンフェロール(kaempferol)を含む食品(茶、ブロッコリーなど)の摂取で卵巣癌のリスクが低下することが示されたほか、ニンジン、ピーマン、キャベツなどに含まれるルテオリン(luteolin)を多く摂る女性は卵巣癌リスクが低いことも示された。さらに研究が必要だが、フラボノイド類の豊富な食品を摂ることが卵巣癌の予防につながる可能性を示すという。(HealthDay News 11月15日)





yakuji.co.jp Web

ブックマークに追加する   RSS Feed




記事一覧
世界最新医療ニュースのページトップへ