額賀福志郎財務相をめぐる山田洋行元専務との宴席同席疑惑で、民主党は22日、参院財政金融委員会で、昨年12月の宴席に関する「新たな証言」を示して迫った。額賀氏は、その夜の自身の日程を初めて明らかにして、「同席していない」と強く反論。平行線のまま押し問答が繰り返された。民主党はさらに額賀氏を追及する構えだが、新証言にも決め手を欠いた。【川上克己】
「想定外だった。まさかあそこまで具体的に説明するとは考えていなかった」。ある民主党参院議員は22日夕、額賀氏の反論について、こう振り返った。「想定外」は、民主党が“特定”した山田洋行元専務と同席の宴席が開かれた昨年12月4日夜の行動について、額賀氏が詳細に明らかにしたことだった。
「同席者の証言」をかざして追及した民主党に対し、額賀氏はその当日夜の行動について▽午後6時すぎから東京・銀座のホテルで家族とその友人と食事をした▽午後7時からの東京・永田町の社団法人「日米平和・文化交流協会」の勉強会に遅れて参加した--と説明。勉強会のメンバーについても「名前を出すことに了解を得られた人」として、宝珠山昇・元防衛施設庁長官や同協会の秋山直紀専務理事、学識者らを具体的に示した。
民主党に、それ以上の追及材料はなかった。同党の簗瀬進参院国対委員長は記者会見で「私どもの調査状況と額賀さんの答弁は、ずいぶん食い違っている。証人喚問で明瞭(めいりょう)に記憶があると言った守屋武昌・前防衛事務次官と額賀さんの答弁をかみ合わせる機会が必要だ」と、額賀氏、守屋氏の証人喚問の必要性を指摘した。一方、額賀氏はこの日夕の会見で「私の方がしっかりした裏付けある答弁をしている。自信がある」と言った。
この日の質疑で額賀氏を追い詰めようと勢いづいていた民主党。しかし、不発に終わったことを受け、党勢失速を招いた昨年の「偽メール事件」を念頭に、「額賀氏の追及は慎重に行うべきだ」との声も上がり始めている。
毎日新聞 2007年11月23日 東京朝刊