汗でにじんでいるが、力強い文字が読み取れる。「Jリーグは俺(おれ)の夢 かずまさ」「自分に負けるな 陽介」
サッカーのクラブチーム、ファジアーノ岡山の主将が腕に巻くキャプテンマーク。その裏面には、昨年までプレーした選手たちの熱い思いが刻まれている。
二〇〇三年の発足以来、アマチュア中心だったチームは今年、Jリーグを目指すためプロ化した。練習時間も夜間から昼間に変わり、アマ選手の多くが仕事との両立に悩んだ末、ユニホームを脱いだ。ただファジアーノを愛する気持ちは変わらない。「絶対、Jへ行ってほしい。俺の魂はチームに置いていく」。そう言い残し、退団した選手もいた。
そのファジアーノが、いよいよ正念場を迎える。二十三日から始まる「全国地域リーグ決勝大会」。Jリーグ下部組織に当たる日本フットボールリーグ(JFL)昇格を懸け、国内九地域の強豪十四チームが激突する。
これが実に熾烈(しれつ)な大会だ。十日間に五試合をこなす過密スケジュール。激しい接触プレーによるけが、出場停止など不測の事態もある。全国約五十のJリーグ志望チームは、等しくこの難関を越えなければならない。
「決勝大会に出るチームはどこも強い。最後は技術よりもハートの勝負だ」。昨年の悔しさを知る選手は実感を込める。
三年連続となるファジアーノのJFL挑戦。会場には大勢のサポーターとともに、旧イレブンも応援に駆け付ける。ファジ戦士よ、あふれる闘志で切り開いてほしい。岡山からJへの道を―。(運動部・飯田陽久)