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ライトノベルが高齢女性に静かなブーム 「彩雲国物語」シリーズ (1/2ページ)
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架空の国「彩雲国(さいうんこく)」の宮廷を舞台に、少女の奮闘を描いたファンタジー小説「彩雲国物語」シリーズが、高齢者の女性にじわじわと支持を広げている。中高生や若い女性をターゲットにした「ライトノベル」に区分される同シリーズは、累計350万部を突破する人気作。“おばさん世代”への意外な善戦に、担当者も「ライトノベルが高齢者に広がるのは珍しい」と驚いている。(滝口亜希)
ライトノベルの主な読者層は中学生から30代の女性で、カバーや挿絵に少女漫画風のイラストが描かれているのが特徴。中華的な世界観をイメージさせる「彩雲国」は、名門出身ながら貧乏な女の子が、困難を乗り越えながら、史上初の女性官吏として出世していくというストーリーだ。
平成15年に角川ビーンズ文庫から第1巻が発売されて以来、読者に高い支持を得ていたが、昨年4月からNHKでアニメ放送が始まり、人気に拍車がかかった。現在は平積みで陳列する書店も多く、品切れ店も出るなど「彩雲国」熱が高まっている。中でも存在感を示すのが、高齢者の女性ファンだ。
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紀伊国屋書店が今年8〜10月に実施した「彩雲国」第14巻に関する店頭調査では、購買者の約8割が女性。さらに、このうち、ライトノベルの読者層にあたる19〜29歳が40・2%を占める一方、30〜49歳が27・0%、50歳以上も13・1%に達した。
この数字に「ライトノベルの世界では、50歳以上の読者がこれだけいるのは異例。ほかの人気シリーズでも見られない現象」と、野崎智子・ビーンズ文庫編集長代理は驚く。作者あてのファンレターも、70代女性のものや、「私はファンの中でも最高齢でしょうが…」と、高齢者と伺える前置きしたものも届いたという。