FLASH 2月10日号、朝日新聞記事に関して見解を述べさせていただきます。
関係記事:(いずれも朝日コム)
「人間の盾」で活動の代表、イラク救援募金5百万円流用 (02/02 16:03)
http://www.asahi.com/national/update/0202/019.html

モスク側、全額を返金 イラク募金流用問題(02/05 10:44)
http://www.asahi.com/national/update/0205/013.html

ユニセフ、募金2百万円受け取り拒否 イラク募金流用(02/07 17:18)
http://www.asahi.com/national/update/0207/023.html
※上記ページが読めない場合はこちらを参照ください。
これは、JITさんの見解ではなく私個人の見解ですので、この点についてご承
知ください。

JITさんからの謝罪は、以下のURLに掲載されています。
http://www.alles.or.jp/~jit/Iraq.htm

=====

まず、JITさんが行ったジャミーラ高橋さんからの資金借り入れについては、
ジャミーラ高橋さんの行動、つまりアラブのこどもたちのために多くのみ
なさんから寄付を預かり、支援を行っていることを鑑みれば、借り入れの
申し出を受けいれたこと自体、軽率だったと思います。

記事にある通り、すぐには動かせないお金をよりイスラムのためになるよ
う運用したいと思い預けた、ということだったのかと思いますが、みなさ
んからの寄付は、その多くがみなさんの意志が託されたお金ですから、そ
の意志に沿わない目的のための運用は、してはいけないことだったと思い
ます。

また、会計の透明性については、寄付を集める以上は担保すべきであり、
JITアフガニスタン支援プログラムに関しても、早急に活動報告、会計報
告を提示していただくよう、重ねてお願いしています。

JITさんからの回答によれば、JITアフガニスタン支援プログラムでは、み
なさんからお預かりする送料、カンパを2つのアフガニスタン支援プログ
ラム専用の口座に送金いただき、ここからの目的外運用はないとのことで
すので、ご安心いただきたいと思うと共に、一連の報道によりご心配をお
かけしてしまったことをお詫びいたします。

=====

次に、有機ヨード(ネオマキス)について見解を述べるにあたって、最初
に、私個人のお話をさせていただきます。

===

私は膵臓ガンで祖母を、大腸ガンで叔母を、喉頭ガンで叔父を亡くしまし
た。それぞれに凛々しく逝きました。

母は、義母(私にとっては祖母)のためにフルタイムの仕事を調整しなが
ら、家族の誰にも気づかれないように丸山ワクチンを買いに行っていまし
た。

祖母は、眠って眠って逝きました。とても精神力のある人でしたから、ほ
んとうはとても痛かったのかもしれないけれど、起きている間も、平静に
さえ見えました。それは、丸山ワクチンのおかげかもしれません。

しかし、私にとって丸山ワクチンは奇跡の薬ではありません。

副作用が強ければ体力も殺がれる、免疫力も低下する、患者の病気と闘う
力を奪う副作用の強いガン治療は支持できないけれど、かといって丸山ワ
クチンが奇跡の薬とは思わないのです。

もちろん、病は気からと言いますし、丸山ワクチンを選ぶ患者さんには、
必ず治るという気持ちを強く持って投薬していただきたいと思います。

奇跡の薬とは思わないけれど、多くの臨床例もあり、多くの病院で取り組
んでいる確かな薬なのですから。

===

翻って『有機ヨード剤(商品名ネオマキス)を「劣化ウランの被害やがん
に効く」としている』という件については、これを信じられた方々に対し、
ジャミーラ高橋さんも含めて、ほんとうに心苦しいのですが、もう少し深
慮されればよかったのに、と思います。

病に苦しみ、そして、苦しむ人を目の前に、藁にもすがりたいお気持ちは
わかるのですが、やはり、それは浅慮に過ぎるのではないかと思います。

===

ヨウ素(ヨード)は、私たち日本人にとって馴染みの深い元素です。

バセドウ氏病、甲状腺ガンなどの医薬、消毒薬、造影剤、うがい薬などの
医療の現場に、防かび剤や除草剤、また養鶏用飼料(ヨード卵光ですね)
などにも使われています。

もともと日本はヨウ素のシェアが高く、海産物からの摂取量が多いために、
常に注目されているメジャーな元素です。

甲状腺ホルモンの分泌が促されて、新陳代謝を活発にするため、根コンブ
健康法など健康情報でも耳にされたことはあるのではないかと思います。

コンブをお水に浸しておけば、ヨードは水溶性ですから9割以上が溶け出
すそうです。15分も煮れば、99%以上が溶け出すと言われています。コン
ブ100g中、100〜300mgものヨードが含有されていると言われています。

■日本昆布協会
http://www.kombu.or.jp/biyou.html

===

こうした健康維持の他、ヨードを抽出精製したものは、殺菌作用が強く、
また、放射能を被ばくした際に誘発される甲状腺ガンの予防にはたいへん
有効(甲状腺への放射性ヨウ素の吸収を妨げる)です。現在でも、原子力
発電所のまわりの自治体では備蓄されています。

■(財)原子力安全研究協会
http://www.remnet.jp/lecture/b03_03/4-5.html
■科学技術振興機構(JST)・原子力図書館
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/09010306_1.html

しかし、被ばく後6時間で効果がなくなります。被ばく直前がもっとも効
果が高く、被ばく24時間前(約70%)から3時間後(50%)が有効な服用時間で、
服用は成人でヨウ素量76mg、ヨウ化カリウム量100mgです。

放射能には色やにおいがついているわけではないので、早めの服用&継続
服用が必要になるのでしょうが、ヨウ素の過剰摂取はかえって甲状腺に悪
影響を与えるため、短期間での摂取、医師の指導が必要とされています。

摂取上限値は、はっきりした科学的根拠が示されていないものの経験値的
に1日3mgとされています。これを超えて継続的に摂取すると、欠乏症と同
じく甲状腺腫を引き起こすなどの悪影響があるといわれています。

しかし、これらは、あくまでも甲状腺ガンの予防措置であり、放射能が引
き起こす健康障害はこれに留まらないわけですから、放射能を防止する、
放射能被害に効く薬という期待は寄せない方が無難です。

■甲状腺
http://www.chukyo-hosp.jp/shinryouka/doctor/naibunpitsu/new_thyroid.htm

===

この有機ヨード剤(商品名ネオマキス)に関してWeb検索し関連したペー
ジを読みましたが、

http://mypage.naver.co.jp/dna/the_i_001.html

に始まるこの商品説明は、多くの内容が「騙すための嘘」です。

ヨウ素(ヨード)は経口薬として一般に販売されています。あまり馴染み
がないのは、海に囲まれ海産物をよく食べる日本人がヨード不足になるこ
とは滅多にないからでしょう。

■ヨウ化カリウム剤50mg、1000錠で20.000円
http://e-tyozai.com/ki.html

普通に薬局でも処方箋などなく購入することが出来ますが、もし、これが
有機ヨードではないからと思うのであれば、スーパーでコンブを買ってき
て、50gを15分も煮込めば50mgの有機ヨードが溶け出した水溶液が得られ
ます。

もちろん国内での研究も各所で行われています。

■ヨウ素利用研究会
http://www.isechem.co.jp/iodine/

過剰にならない範囲で適正に継続服用すれば、免疫力が高まるとか、新陳
代謝がよくなるとかの効能はありますし、日本と違って海産物からヨウ素
を採れない地域だと国内より有効なケースもあるかもしれません。

しかし、ヨウ素(ヨード)の力はヨウ素の元素が持つ力でしかありません。

ヨウ素(ヨード)の可能性はまだ深く、これからの研究に期待も寄せられ
ていますが、少なくとも当該ページにある多くの記述は、驚くほど稚拙な
『騙すための嘘』であり、そのために、この商品は非常に疑わしいもので
あると思われます。

===

誰が騙すための嘘をついたのか、私は知りません。
こういった事件で、誰が加害者で、誰が被害者なのか、その線引きは難し
いものになると思います。

信頼している人から薦められたものを信じるということはとても自然なこ
とです。信じれば自分が背負う苦しみや悲しみが少しでも軽くなる可能性
があるのであれば、信じたいと思う気持ちも強まるでしょう。そのうえ、
最初に騙そうとした人以外は、たいがいが善意なのですから。

しかし、この嘘に巻き込まれた方々は、それぞれに罪を償わなくてはなら
なくなるでしょう。

この件に関しては、一刻も早い真相究明と、関係者からの謝罪を待つばか
りです。


=====


一連の報道で、JITアフガニスタン支援プログラムへの信頼感も損なわれ
たことは、サポートサイトを運営するものとして、またひとりの参加者と
してたいへんに遺憾に思いますが、同時に、お声がけをしている以上、不
安、不信を感じたみなさんには、申し訳なく思っています。

とりあえず、私に出来ることは、JITアフガニスタン支援プログラムの活
動報告、会計報告が少しでも早く掲示できるよう微力ながら努めることだ
けです。

どうぞ、もうしばらくお待ちくださるようにお願い申し上げます。
2004年2月8日
文責:MATSUDA SACHIYO