スペイン国王ファン・カルロス1世が、国際会議の席上でベネズエラのチャベス大統領に浴びせた「黙れ!」という一喝が携帯電話の着信音として商品化され、大ブレークしている。スペインなどで、すでに約50万人がダウンロード。売り上げは約150万ユーロ(約2億4400万円)に達しているという。スペインとベネズエラの国際問題にまで発展している国王の発言に国民が悪ノリする形で浸透。騒動を題材にしたマグカップやTシャツなどのグッズも登場しているという。
「ポルケ・ノ・テ・カジャス(黙れ)」−。若者たちの携帯電話から着信を伝える“一喝”が鳴り響いている。
発端となったのは今月10日、南米チリで開催された中南米諸国とスペイン、ポルトガルによる首脳会議。日ごろから過激な発言で物議を醸しているベネズエラのチャベス大統領が、スペインのアスナール前首相を「ファシスト」呼ばわり。スペインがイラク戦争に参戦したことなどを非難したものだという。
この発言にカルロス国王がブチ切れ。チャベス大統領に向かって「黙れ」と一喝した。大統領は帰国直後は「聞こえなかった」と受け流していたが、後日「国王は我慢した方がいい」と反論。さらに「(一喝は)両国関係を傷つけた。謝罪すべきだ」とトーンを上げ、両国関係の見直しを示唆するなど、両国間に遺恨が残る形となった。
だがスペイン国内では国王発言に人気が沸騰している。英BBC放送(電子版)やスペイン紙などによると国王の「黙れ!」ボイスを業者が、携帯電話の着メロに採用して販売。約2億4400万円を売り上げているという。
投稿サイト「you tube」には、国王が一喝する会議での様子を数多くアップ。また2人の場面などをあしらったマグカップやグッズも登場。Tシャツも発言だけが吹き出しになったものや、2人が登場するものなど様々なパターンが作られている。
一方で「黙れ!」着メロは一喝された側のベネズエラでも人気を博しているという。反チャベス派の若者が、こぞってダウンロード。同国の大学生はスペイン国王の一喝について「多くの国民がチャベス大統領に言いたいと思っていることだ」と話しているという。
国際的危機をネタに思わぬヒットを飛ばしている業者もさすがにビビリ気味。権利関係のトラブルを避けるため、国王の生の声は使わずに、俳優に「黙れ」と言わせているという。