東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京中日スポーツ > 芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【芸能】

幸四郎 亡き父・白鸚に捧ぐ 由良之助

2007年11月21日 紙面から

 英雄役者と言われ文化勲章も受章した松本白鸚の27回忌追善興行(来年2月、東京・歌舞伎座)の演目が20日、決まった。長男の松本幸四郎(65)を中心にゆかりの狂言で昭和の名優を偲ぶ。

 幸四郎が昼は「仮名手本忠臣蔵 七段目」の大星由良之助、夜は「熊谷陣屋」の熊谷直実、最後に孫の市川染五郎(34)が本興行で初めて大曲「春興鏡獅子」を踊る。

 幸四郎の2役は白鸚が愛した当たり役。特に、由良之助は、観客が「大石内蔵助というのは、こういう人だったのかもしれないねぇ」としみじみ感想をもらしたエピソードが有名だ。「役者にとって最高のほめ言葉。父は真山青果の『元禄忠臣蔵』の内蔵助もやっていますが、両方いいと言われた役者は少ないと思います。英雄役者と言われ、最後の大きな役者ではなかったでしょうか」。

 幸四郎自身、両演目とも何度も手がけてきた。熊谷も定評がある。「最後に『16年はひと昔、夢だ、夢だ』というセリフがあるんですが、27年はひと昔という気持ちで胸がいっぱいになると思います」と早くもさまざまな思いが去来している様子だ。

 染五郎の「鏡獅子」も大きな話題だ。本来、家の芸ではないが、染五郎が子供歌舞伎で一度だけ演じた際、大叔父の松緑(2代目、白鸚の弟)から教わり、「弥生(後に獅子の精)をやれる役者が高麗屋にも出たな」と評された思い出がある。幸四郎は「最後は新しい高麗屋の門出。松たか子、松本紀保もいてひ孫もできた。オヤジ、ここまできたよ、と言えそうです」。

 夜は「口上」もあり、広く慕われた人柄がしのばれそうだ。公演は2月1−25日。

 

この記事を印刷する