ニュース:生活 RSS feed
【正論懇話会】上坂冬子氏講演要旨 (2/2ページ)
日本が白旗を掲げた8月15日の直後にスターリンが攻め込んできた。だれが考えても認められない。当時1万7000人住んでいたといわれているが、1万人以上が2年間、そこでロシア人と一緒に暮らした。私なりの判断では、あのような寒冷地での暮らし方がわからなかったのだろう。日本人から魚の捕り方などを教えてもらうと、日本人を追い出した。
私はあの島は拉致された島だと思っている。とにかく乱暴をやった者の勝ちだ。昨年8月16日、事件が起きた。日本の漁師が夜中に魚を捕りにいった。貝殻島と根室の港の真ん中あたりにロシアは勝手に引いた線を400メートル超えたといって、小さな船に向かってドスンと撃って35歳の青年が即死し、船長と船が拿捕(だほ)された。船長は40日以上拘置され、罰金214万円を払えといわれ、250万円渡すとおつりも払われなかった。船はいまだに返ってこない。日本政府は何もいわないのか。私は納得いかなかった。
先日、根室のホテルで1泊した。地元の新聞にロシア人がゴムボートで境界線を越えてきたという記事が載っていた。ビールを買いに来たらしいが、罪はないということで帰されたという。こんなばかなことはないんじゃないか。
日本は一刀両断にやっつけなきゃいけない問題と、掘り下げなきゃいけない問題を取り違えている。やりやすいところを攻めて、やりにくい所は放っている。これでいいのか日本。