京都市の11月定例議会は21日、一般質問を行った。桝本頼兼市長らは答弁で、育児支援策として、2008年度中に妊婦検診の公費負担を1回から5回に増やすことや、母親の精神面ケアのため希望者のみに保健師らが行っていた新生児訪問を全戸訪問に改める方針を示した。市立病院では来年5月から、プライバシーに配慮して、受付番号で外来患者を呼ぶ新たな仕組みを導入することも明らかにした。
妊婦検診は胎児の発育状況や血圧測定、尿・血液検査なども行うが、健康保険が適用されず1回あたり平均7000円から8000円かかる。出産までに通常13、4回受診するため一般的に10万円程度を患者が負担している。
市は、妊婦検診は母親や胎児の健康確保に欠かせないとして、これまで検診料を原則1回分、生活保護費受給者と市税非課税者には2回分、公費負担していた。
しかし、他府県などで経済的負担を理由に受診しないケースが報告されていることから、桝本市長は「安心して妊娠・出産できる環境づくりに公費負担の拡充は有効だ」と述べ、国の通知に基づき5回分まで負担する方針を明らかにした。
妊婦検診を5回まで公費負担するのは政令市では札幌市、新潟市に続いて3番目。
新生児訪問は、母親の精神面のケアを視野に入れ、これまでの希望者限定のサービスから全戸訪問に切り替える。母親が出産後に精神的に疲労し乳児虐待へ発展するケースがあることから、保健師か助産師が生後4カ月までの乳児がいる家庭すべてを訪問し、乳児の発達相談などに応じ、母親の精神的負担軽減につなげる。市立病院に導入されるのは電光掲示板「患者案内表示装置」で、患者を番号で呼ぶことになる。受診患者数の多い内科や整形外科などを手始めに、将来的には全館に設置する。
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