2007年11月22日 [木]
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県内の在宅医療「不十分」 療養病床削減で“介護難民”も

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県内の在宅医療「不十分」 療養病床削減で“介護難民”も

県内の在宅医療が「不十分」との指摘が相次いだ県医療費適正化計画検討委員会=21日午後、県庁

 国の療養病床削減方針を受けて、県は県内の削減目標値設定に向けた調整作業を進めているが、削減後の医療の受け皿となる県内の在宅医療は不十分であることが県医務・国保課の調べで分かった。往診数は人口比で全国最下位、クリニックなどの診療所数は45位、訪問看護ステーションの施設数や診療所の医師数も全国平均を大きく下回った。県はこれらのデータと「不十分」との見解を盛り込んだ県医療費適正化計画素案を21日の計画検討委員会で明らかにした。
 検討委の委員からは「在宅医療が不十分なまま療養病床を削減したら必ず介護難民が出る」「県は在宅医療の対策も計画の中で示してほしい」などの指摘が相次いだ。
 素案によると、人口10万人当たりで、一般病院と一般診療所による往診件数は全国平均が199件だが、沖縄は47件で全国最下位。診療所数は56・3カ所で全国76・3カ所を大きく下回り45位だった。訪問看護ステーション数も3・7カ所で全国4・5カ所を下回った。
 75歳以上の人口千人当たりの在宅療養支援診療所の数は0・46カ所で全国0・82カ所の半分近く。人口10万人当たりの医師数は全医師数では全国211・7人に対し204・9人とほぼ全国並みだが、診療所の医師数は全国72・8人に対し52・5人と大きく下回った。
 県は全国並みにする場合の目安として、診療所については272施設増、医師数は276人増などと試算。その上で「在宅サービスを図るための医療資源は十分ではない状況。大学や医師会など関係機関との協力の下、在宅医療を担う医師などの確保対策を推進し、診療所や訪問看護ステーションの施設確保を図る必要がある」との見解を明記した。
 これに対し、検討委の委員から「もっと在宅サービスに力を入れた施策が必要」などの意見が続出。議長の小渡敬(さとし)県医師会副会長は「在宅医療がうまくいくには、長崎のように、診療所が協力し合うグループ診療やネットワークづくりが大切だが、この体制が沖縄はできていない。こうした問題を解決しないと療養病床を削減すれば必ず介護難民が出る」と指摘した。(新垣毅)

<ニュース用語>療養病床削減
 主に高齢者が長期療養し、国が医療費抑制やサービス適正化のため2012年度末までに介護サービスへの大幅な転換目標を掲げている。医療型と介護型があり、政府は12年度に介護型を全廃、25万床ある医療型を15万床まで減らす方針。県内は医療型3672床、介護型687床あり、医療型に含まれる回復期リハビリテーション病床608床は対象外のため、削減対象は3751床。県は1100―1200床削減する方向で国と調整している。

(11/22 9:57)

 
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