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暴走自転車、摘発急増 警察庁 未成年者が約半数

2007年11月21日16時37分

 自転車の無謀運転対策として警察庁が積極的な取り締まり方針を打ち出し、交通違反をした自転車利用者の摘発が急増している。同庁のまとめによると、今年1〜9月に逮捕・書類送検や赤キップを切られた人は599人で、すでに昨年1年間の585人を上回り、4年前の約5倍にのぼっている。行政処分で済む制度がない自転車の場合、交通ルールを守れないと罰金などの刑事処分を受ける可能性も出てくる。

図

違反自転車の摘発数のグラフ

 今年1〜9月に摘発された599人の内訳は、2人乗りなど乗車・積載違反が196人と最も多く、信号無視156人、一時不停止110人と続いた。警察官による指導・警告は9月末までに134万件。昨年は145万件で、その3年前から倍増している。警察では、まず指導・警告をしたうえで、従わない場合に摘発することにしている。

 今年摘発された人の約半数にあたる291人は未成年で、「中高生のマナーの悪さが目立つ」(警察庁)という。交通事故総合分析センター(本部・東京)の統計でも、06年の自転車と歩行者の事故のうち、16〜19歳の自転車利用者が加害者となった件数が、全体の約2割を占めたとされる。

 自転車は、全国で8000万台以上普及する身近な交通手段で、自転車絡みの事故はここ数年、17万〜18万件と高止まりだ。車との事故は近年、減少に転じつつあるが、歩行者との事故はここ10年で約5倍に増えており、今年1〜9月も2021件にのぼる。06年は2767件だった。

 同庁の担当者は「身近な乗り物なのにルール自体が知られておらず、悪質で危険な運転がまかり通っている」と警告している。

 一方、自転車の走る道路環境にも課題があるとして、同庁は対策に乗り出している。日本自転車普及協会(本部・東京)の調査でも、9割以上が「歩道上で自転車を危険だと思った」と回答した。このため同庁は取り締まりを強めると同時に、国土交通省などと今秋から、歩道と自転車道を分離するなどのモデル事業を始めている。

 協会幹部は「これまで悪質な運転が野放しにされ、無謀な運転を助長してきた面がある。取り締まりや注意や警告で、運転マナーが向上してくれればいい」と期待している。

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