鳥取県は市町村の公営企業の二〇〇六年度会計決算をまとめた。病院や休養宿泊など地方公営企業法が適用される二十六事業のうち赤字が十五事業。一般会計からの繰入金が十五事業で十八億円、累積欠損金は十六事業で百十六億四千万円に上り、市町村財政を圧迫している。
病院事業は六事業のうち五事業が赤字。診療報酬の引き下げと医師不足などで収益が悪化したのが要因だ。赤字総額は十一億二千九百万円で、累積欠損金は前年度比14%増の九十六億六千万円に増えた。繰入金は、黒字の日南町も黒字額を上回る一億五千七百万円を計上するなど、六事業で総額十六億七千万円に上り、前年度比9・5%増となった。
鳥取、岩美、智頭、日野の病院事業は医師不足により大幅な収益減。岩美は心療内科と小児科の医師が退職し、外来診療の休診、病棟の休止に追い込まれ、現在も五十床が閉鎖中だ。
岩美病院の平井和憲事務長は「病院は病床があってこそ経営が成り立つ。改善には医師確保しかないが、見つからない。将来を見越しても病院経営は先行きが不透明で苦しい」と打ち明けた。
また、休養宿泊事業では、大幅な人件費の削減により支出が減ったが、利用客数の減で、営業収益の減少が続いている。
三朝町の国民宿舎ブランナールみささは、一九九四年の改築時の約二十億円の長期借入金の返済が経営を圧迫。企業会計の一時借入金を繰り返してしのいでいる。
町担当者は「繰入金はないが、最終的に町財政を圧迫することになる」とし、「長期借入金の返済額軽減と経営努力などで剰余金を出し、一時借入金の額を減らして健全化したい」と話した。
上水道事業は県全体では黒字。しかし、十二事業のうち五事業が赤字で、繰入金は一億三千万円、累積欠損金が二億三千万円ある。索道(リフト)事業は雪不足のため営業日数が減り、全三事業とも前年度の黒字から赤字に転落。大山町は六億円二千万円の累積欠損金を抱えている。
国は〇七年度決算から市町村の財政健全化の基準を変更し、公社や第三セクターなどの負債を盛り込む、いわば「連結決算型」で自治体の財政状況を判断する方式を導入する。このため、市町村は公営企業への支出に、より一層厳しい視線を向けることになる。
県分権自治推進課の桐林正彦課長は「公営事業は無駄の排除や効率化が欠かせないが、水道など必然性が高いものがあり、事業の性格を考慮し、公的負担の在り方を議論する必要がある。数字が独り歩きしてはいけない」と話した。