法務省は、犯罪を起こして少年院に送致された少年の出院や仮退院時期や教育状況などについて、被害者やその家族に通知する方針を固めた。既に出所情報などの提供が制度化されている刑務所の成人受刑者についても、新たに刑務所内での服役状況を伝える制度を追加する。いずれも年内に実施する。
少年事件を巡っては、97年の神戸市連続児童殺傷事件について、事件当時14歳の加害少年の仮退院の事実や状況が開示された。また00年の西鉄高速バス乗っ取り・殺傷事件では、当時17歳の少年が仮退院する前に、被害者らに被害感情などに関するアンケートが実施されたこともある。
こうしたケースは例外的な重大事件で、被害者らの要望が強い場合に限られており、同省は少年のプライバシー保護や健全育成の阻害などを理由に、仮退院の事実や教育状況の開示を全事件で実施することには慎重だった。だが「加害者の情報がほしい」という被害者の声の高まりや、04年に「犯罪被害者等基本法」が成立したことを重視し、省内で制度化が検討された。
少年院に送致された後、同省が被害者らに開示する情報は(1)どの少年院にいるか(2)出院や仮退院した時期(3)院内で行われた教育の状況−−など。被害者らが要望する全事件で実施する。
一方、成人受刑者の出所情報提供制度は01年にスタート。被害者らが検察庁に要望すれば仮釈放や満期出所時期を伝えられているが、今回、どの刑務所内でどんな改善指導を受けているかも含めることにした。【坂本高志】
◇「やっと」の制度化
少年犯罪被害当事者の会の武るり子代表の話 少年事件は特別な重大事件を除き、家裁審判から少年院の出院まで被害者にほとんど情報がなかった。改善を訴えてきただけに、制度化は「やっと」という思い。具体的に実施する際、制度があることを被害者にきちんと伝えるようにしてほしい。
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