2007年11月15日15時22分[県東エリア]
自主公演に向け練習に励む佐倉東高演劇部の古沢さん(右)と伊三野教諭
部員一人、顧問一人。佐倉東高校演劇部による自主公演、一人劇「セッちゃん」が十七日、佐倉市立美術館四階ホールで開かれる。中学生のいじめを描いた原作をもとに、脚本づくりから二人三脚で取り組んだ作品を「地元佐倉で見てほしい」と、企画。公演後には「いじめ」をテーマにしたフォーラムも開催する。二人は「できるかぎり中高生に参加してもらいたい」と呼び掛けている。
同校演劇部は現在、部員の三年、古沢遥さん(18)と、顧問の伊三野友章教諭(44)で活動。今回二人が取り上げたテーマは「いじめ」。公演作品は、直木賞作家、重松清氏の短編集「ビタミンF」のうち一作品を原作に、二人で手直しを重ねながら脚色した。
生徒会長を務める古沢さんは今年一月、県議会本会議場で行われた「いじめゼロ子どもサミット」に参加。五月には都内で行われた文部科学省主催の「いじめをなくそう子ども会議」で、生徒会の取り組みを発表するなど、生徒会顧問でもある伊三野教諭とともに、いじめ問題に積極的に取り組んできた。
作品完成までには多くの困難があった。九月下旬の文化祭公演一週間前、古沢さんは右足のじん帯損傷の全治四週間のけが。十分な練習ができないまま迎えた当日は、片足で演技し、構成も間違える散々の結果に。古沢さん本人も「最悪だった」と振り返る。
それでも「このまま終わりたくない」と、文化祭から一週間後、高校演劇コンクールの地区発表会に出場。けがを感じさせない演技を見せ、今月二十三〜二十五日に市川市文化会館で開催される県大会初出場を決めた。現在は、自主公演を県大会のプレ公演と位置付け、練習に励んでいる。
「頭で考えるのではなく実体験について話し合い、いじめられた側の心を知ることができた」。自主公演後のフォーラム開催理由を、四月の「いじめ」を取り上げたリーダー研修会が“実りある場”だったから―と説明する古沢さん。伊三野教諭も「まず演劇でいろんな葛藤を受け止めてもらい、話し合うことで体験を共有して、いかに(いじめが)残酷か気付いてほしい」と話している。
自主公演は十七日午後二時開演。入場無料。
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