トップ > 栃木 > 11月16日の記事一覧 > 記事
【栃木】いじめ件数6倍に 2006年度の県内公立小中高校『からかいや悪口』最多2007年11月16日 二〇〇六年度に県内の公立小中学校と県立高校などで把握されたいじめは千九百十六件で、三百二十二件だった前年度に比べて約六倍に増えたことが十五日、県教育委員会の「児童生徒の問題行動調査」で分かった。文部科学省によるいじめの定義の幅が広がったことが“突出”の要因だが、県教委は「深刻な状況に変わりはなく、いじめ撲滅のために取り組む」と話している。 (小倉貞俊) 把握されたいじめは、小学校九百五十二件、中学校八百六十四件、県立高校で九十八件、県立特別支援学校で二件。内容を見ると「からかいや悪口」が最も多く、約千二百七十件。次いで「仲間はずれや集団無視」が約四百六十件、「たたく、蹴(け)るなど」が約三百四十件。パソコンや携帯電話のサイトで中傷するいわゆる「ネットいじめ」も約七十件あった(複数回答含む)。 暴力行為も前年度に比べ二百六十二件増えて六百五十五件。このうち、生徒間の暴力が三百三十件と最も多く、特に中学校でのケースが百七十件増えた。高校の不登校は九百四十三件で、前年度比九十六件の増。中途退学も九百四件で百三十三件増えた。 いじめの新しい定義について、県教委は「一定の人間関係のある者から心理的、物理的攻撃を受け、精神的な苦痛を感じているもの」と説明。前年度まで盛り込まれていた(1)自分より弱い者に対し一方的に(2)継続的に(3)深刻な苦痛を感じている−の部分を削除したことで単発のいじめも考慮され、より被害者の立場に立った解釈となったという。 今回の結果について、県教委は「衝動的、発作的に問題行動を起こしたり、その年代で身につけるべき対人関係、コミュニケーションが取れない子どもが増えている」と分析している。 あぶり出された“兆候”いじめ件数が前年度の約六倍という“突出”ぶりを示した今回の調査。潜在化していたいじめの「兆候」があぶり出された形となり、二〇〇四年度まで、いじめ件数が七年連続で全国ワーストを記録した栃木県としては、より慎重な対応が迫られているといえる。 「七年連続ワースト」に危機感を持った県教委は、〇五年度に校長経験者らでつくる対策チームを県内八カ所の教育事務所に配置。問題のある学校の指導を強化し、いじめの大幅減に成功した実績がある。 九月には県内の全教員に対し、ケースとの対応や自己点検表などを盛り込んだいじめ対応マニュアルも配布。〇三年度に86・7%だったいじめの解消率が今回は94・3%となり、改善傾向は表れた。 だが、対応が必要となる件数自体はむしろ増加。さらに「ネットいじめ」など新たなケースへの対応、子どものSOSを受け取る仕組みづくりや未然防止などをめぐる課題が山積していることに変わりはない。 平間幸男教育長の言う「保護者と連携しながら丁寧な対応を進める」姿勢が一層求められている。
|
|