日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。本当は支×ヲチにしたかったけど自粛。





 領土問題の話です。といっても南シナ海の話で日本には直接関係ありませんが、留意しておくべきニュースかと思います。

 中国が絡んでいる南シナ海の領土問題といえば、まず南沙諸島(スプラトリー諸島)の名前が思い浮かぶでしょうが、他にも西沙諸島、中沙諸島をめぐる争いが現在進行形。ちなみに東沙諸島というのもありまして、これは台湾が実効支配中のようです。

 その南沙諸島、西沙諸島、中沙諸島の3つについて、中国は台湾、ベトナム、フィリピンなどと領有権争いを展開しています。南沙諸島だけだと、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの6カ国。

 ところがこの「南」「西」「中」の「三沙」をひっくるめて経略に乗り出そうと中国が動き出しました。今日付の香港紙『明報』(2007/11/20)が消息筋情報としてスクープしています。具体的には「三沙」に近い位置にある海南省に「三沙市」を新たに設立し、行政面から手をつけて領有を既成事実化していく構えのようです。

 ●海南省が三沙市を設立し係争海域を管轄下へ、面積は全国の4分の1(明報 2007/11/20)
 http://hk.news.yahoo.com/071119/12/2jru0.html

 ――――

 『明報』の消息筋によると、「三沙市」設立については海南省から国務院(中央政府)に申請が出され、すでに中央の認可を受けたとのこと。これまでの「西沙群島弁事処」という部門から「市」に昇格させることで、単体の地方政府として扱われることになります。中国の地方自治体レベルは、

 「省」→「市(一級市)・区」→「県・市(二級市)」→「鎮」

 という順番で下っていくのですが、このほど認可されたとされる「三沙市」は県と同等レベルの二級市となるそうです。とはいえその管轄範囲は海も含めると合計200万平方キロ余りとなり、中国の陸地面積(960万平方キロ)の4分の1にも及びますから大層なもの。より具体的にいうと、海南省文昌市(一級市)の管轄下に「三沙市」が設立されることになります。

 むろん、このことは消息筋がソースであるように、今はまだ内緒です。中国がそういう動きに出た、ということが明るみになればフィリピンやベトナムなどが騒ぐことは必定。折からシンガポールでASEAN+日中印韓の東アジアサミットが開かれているばかりか、ベトナムとは領海線画定の話し合いを行っている最中でもあります。

 ところがこの情報がどうやらガセではないらしいようで、香港の親中系通信社・中国評論社の電子版「中評新聞網」がよせばいいのに『明報』の記事を地図ごとそのまんま転載しているのです。

 親中系のくせに余計なことを、と北京は激怒しているかも知れません(笑)

 ●「中評新聞網」(2007/11/20/11:44)

 ちなみにこれがその地図。殺気立つ締め切り直前の編集部の空気を体験している私としては、『明報』美術部隊の遊び心に、心から敬意を表したくなります(笑)。



 ――――

 『明報』によれば、「三沙市」の上部機関となる文昌市のトップである謝明中・市党委書記は10月26日、市党委員会全体会議の席上、「三沙市」設立が国務院によって認可されたこと、「三沙市」が南沙諸島、西沙諸島、中沙諸島を管轄下とすること、などといった決定事項を通達。

 文昌市はその補給基地として新たに埠頭などを建設する一方、「三沙市」当局の職員の大半の勤務地となる模様です。「三沙市」政府庁舎がどこに建設されるかはまだわかりません。というよりまだ内緒なのでしょう。

 内緒ですから、この件には隠語が使われています。『明報』によると文昌市のウェブサイトにおいて「三沙市」は「X市」とされているそうで(笑)、この「X市」での開発事業などは文昌市当局が窓口になる、ということです。将来的には西沙諸島・永興島への観光路線設立といったプロジェクトも計画されているそうです。

 プロジェクトといえば、この「X市」計画は文昌市が今後着手する「九大プロジェクト」のひとつに数えられているとのこと。

「『X市』とされているそうで」

 と伝聞調なのは検索をかけて実際に文昌市政府のウェブサイトに飛んでみたところ、関連記事があったと思われるページが全て削除されていたからです。『明報』の報道を受け、ベトナムやフィリピンの反発を懸念して慌てて消去したのかも知れません。

 http://www.wenchang.gov.cn/cgi-bin/news/read.asp?id=2814
 http://www.wenchang.gov.cn/cgi-bin/zwxx/read.asp?id=302
 http://zw.0898.net/read.php?news_id=7026

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 ところが『人民日報』電子版である「人民網」、ここの地方ページ海南省版(海南視窗)のニュースサイトに辛うじて記事が残っていました。仕事が甘いぞ削除職人(笑)。

 なるほど「九大プロジェクト」の8番目に、

「『X市』基地建設プロジェクトの成功を積極的に支援する」

 とあります。いやーホントに「X市」なんですねえ(笑)。

 ●文昌市、九大プロジェクトを全力推進へ(人民網海南視窗 2007/11/05/15:27)
 http://news.0898.net/2007/11/05/343240.html
 http://zw.0898.net/read.php?news_id=6938

 秘密でなくなったことで関係各国の反発は必至だ!てなところでしょうか。

「中国のような価値観を共有できず対話の成立しない国相手には、『なんちゃって協議』でお茶を濁す一方で、やるべきことをサクサクと進めていくべき」

 と当ブログは常に主張しているのですが、南シナ海で中国がそれを実行している格好です。

 野蛮です。とはいえ国家主権に関わる領土問題ですし、相手が中国であれば日本もこのくらいやる覚悟がなければ駄目でしょう。だからちょっとその厚顔ぶりが羨ましかったりするのです(笑)。

 ともあれベトナムやフィリピンの硬骨に期待しましょう。




コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
行政体名称 (後塵)
2007-11-21 21:25:38
X市・・・・ペケ市とかバツ市と読めばいいのでしょうか?
 
 
 
本屋にてpart2 (五香粉)
2007-11-22 01:05:13
最近、アンチョビーの食べすぎで口がすべりっ放しの五香粉です♪しかし、X市ってえのは笑わせますね。人民網海南視窗を読みました。カストリ雑誌のような表現方法が中国的で大好きだな。

今日も本屋さんへ遊びに行きました。娘の絵本を探しに行ったのですが、ろくなのが無い。仕方なく子供向け教育書を見ていました。中国は、子供向け『なぜなに百科』が数種類出版されています。日本だったら『科学・自然・世界の七不思議・人体・歴史・偉人』こんなジャンルでしょうけど、中国ではこれに、『軍事・兵器』が加わります。小学生向けは、簡単な紹介文程度。中学生向けは、自動小銃の性能比較から、爆弾の基本構造、戦略論まで書いてあります。餓鬼がこの本を真面目に読んだら、即戦力になりそうな物騒な本です。今日手に取ったのは、中学生向けの軍事書です。歴史関連をパラパラとめくってみると、こんな記述を見つけました。『世界の近代戦闘史』。広島長崎原爆投下・硫黄島激戦・沖縄戦・ベトナム戦争・中東戦争。戊辰戦争まで書いてありました。日本国内では大事でしたが、そんなこと書くよりもアヘン戦争を書けよなあ。日本人の戦争好きを喧伝したいんでしょうね。あれ?中国を揺るがした隣国の戦争が無いぞ?チベット・トルキスタン・モンゴル(おまけでベトナムも)の件は一万歩譲って自国内の事として知らん振りしてやるけど、今も引きずって世界を巻き込んで大揉めしているユーラシア大陸のチンポコ(世界地図をひっくり返してみると意味が判ります。by椎名誠)を巡る一大事は、ヌルーですかい?何か中国人に知られては困る事が背後にあるのではないかと、邪推してしまいますねえ。

こんな判りやすい歴史の改ざんを続けちゃあ、愛国教育なんて無理でしょうね。若い世代の政治からの乖離は加速するでしょう。私の相棒も、『中国の政治は私達に関係ないんだよ!だから首を突っ込むな』といつも私に言うくらいですからね。

そうそう、本屋の店頭にはオリンピックのマスコットキャラの漫画が沢山積まれていましたよ。誰も見向きもせず、ドラエモンやドラゴンボールを読んでいましたが。

奥輪会快到了!!

楽しみだなあ。
 
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