アテネオリンピック、サッカー男子日本代表の予選リーグ初戦パラグアイ戦が、いよいよあす12日(日本時間13日午前2時半)、ギリシャ北部の都市テッサロニキで行われる。メキシコ大会以来36年ぶりのメダル獲得に日本中の期待が高まる中、代表メンバーの一人、田中達也選手(FW)の父親の実家がある吉敷佐畑地区は、田中選手を応援する横断幕を作るなど、大変な盛り上がりを見せている。
田中選手の父正三さんは、生まれも育ちも吉敷佐畑地区。就職で徳山市(現周南市)に移ったが、5年前、田中選手の祖父博さん、祖母マリーさんが亡くなってからは、正三さんが実家を管理しており、月2〜3回は掃除や田畑の草刈りなどのため周南市から帰省。幼なじみが多く、佐畑自治会にも入っていることから住民たちとの親交は深い。
また、博さんは生前、新聞の切り抜きを持ち歩いては「これがわしの自慢の孫。よかったら応援してやってくれ」と近所を回っていた。こうしたことから、同地区では子どもからお年寄りまで、ほとんどが田中選手のサポーター。特に今年3月の「五輪アジア地区最終予選」からそのボルテージは一気に高まり、地区住民のカンパで応援横断幕を作成する気合いの入れよう。住民同士のあいさつも、「昨日の達也くんのゴールはすごかったね」「きょうは○時から試合よ」などになり、田中選手が話題にのぼらない日はないという。
佐畑自治会長の浅田規文さんは「高齢化が進み、話題も少なくなっていたが、達也くんのおかげで佐畑はすごく活気が出てきた。今までサッカーに全く興味のなかった人までも熱烈に応援している」と驚く。
安達美子さん(72)も田中選手の熱狂的なファンの一人。新聞のスポーツ面を隅から隅までチェックするのが日課で、サッカー雑誌も定期的に購読するようになった。宝物は田中選手直筆のサインで、「達也くんがゴールを決めると自分のことのようにうれしい。何だか若返った気分」と目を輝かせる。
五輪日本代表メンバー18人が発表された先月16日には、近所の人たちが集まり祝賀会を催した。また、本番を間近に控え、前より一回り大きい2枚目の横断幕も発注した。
浅田さんは「博さん、マリーさんの孫で正三さんの息子ということで、皆、達也くんを地域の子どもだと思っている。小さな地区だが、亡くなった博さん、マリーさんの分まで佐畑から大声援を送りたい」と話している。
|