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【社会】イラクで弾丸止めた救命ナイフ 関市の松田菊男さん製作2007年11月21日 朝刊
戦闘が続くイラクで、武装勢力に銃撃された米海兵隊員が、左胸に着けていた1本のナイフのおかげで奇跡的に命拾いした。銃弾を食い止めたナイフは、刃物の産地として知られる岐阜県関市下有知、松田菊男さん(56)の作品。隊員の父親から感謝のメールを受け取った松田さんは、無償で同型ナイフを製作。今もイラクで従軍する隊員のクリスマスプレゼントにするため、21日に米国に向けて発送する。 父親のチャールズ・ラウスさん=オクラホマ州=によると、海兵隊員は任務中、武装勢力から突然、狙撃された。 銃弾は左胸を直撃したが、防弾着に着けていたナイフ(全長26センチ)が弾よけになり、軽いけがで済んだ。銃弾は刀身部分を直撃し、真っ二つに砕いたという。ナイフがなければ、防弾着を貫通するところだった。 息子からの知らせを受けたチャールズさんは、インターネットで同型のナイフを探し出し、松田さんの作品と確認。10月19日、「息子の命が救われたのは、神様と松田さんのおかげ」などとするメールを送った。 松田さんは「驚いた。刃物で人を傷つける事件ばかり聞く中で、自分が手がけたナイフが人の命を救うなんて、こんな幸せなことはない」と感激。隊員のため、同型のナイフを新たに作った。 ナイフは狩猟用で、刃渡り12センチ、刃の厚さ5ミリ。商品名は「ハシナウカムイ」といい、アイヌ語で「狩猟の女神」を意味する。松田さんは2006年9月、米国の販売業者に5本を輸出。カリフォルニアのナイフショーで軍事用品を扱う業者が購入し、さらに別の米海兵隊員の手に渡った。チャールズさんの息子は、イラクでその隊員から譲り受けていた。 早ければ08年2月にも帰国するという隊員は、“命の恩人”の松田さんに対面し「折れたナイフの半分と、撃たれた防弾チョッキの写真を手渡したい」と話しているという。松田さんは、同じ時期にナイフショーで渡米する予定で、海を越えてナイフがつないだ縁に、隊員やチャールズさんと会う日を心待ちにしている。 米国防総省によると、イラク戦争開戦以来、19日までの米兵の死者は、3867人に達している。
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