田辺市市民活動促進指針

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U.市民活動促進と協働の意義

1.行政が市民活動を促進する意義

 先にも述べたように、市民活動を支援、促進する基本理念は社会全体(行政、企業、地域、住民)を総体としてより豊かなものにすることにある。市民活動団体(NPO)、行政、住民の三者それぞれにとってのその意義とは何か。
@市民活動団体(NPO)にとっての意義
 全国的には、委員会の委員の公募制やパブリックコメント(意見提出)制度などが整備されつつあるが、多くの人々が市の委員会や審議会に参画することは困難である。しかし、市民活動団体(NPO)では、市民の発意により、その意思さえあれば、参画することが可能である。 アメリカの心理学者アブラハム・マズローの欲求段階説では人間の最も高次の欲求として「自己実現」を位置づけている。人間として成長し、自己の能力を実現したいというものには市民活動への参画を包含しているといえよう。
 市民活動は従来のサービスやシステムでは提供できない公益活動(事業)を市民自ら行うものである。このため、事務処理能力、責任などが求められ、分権型社会の担い手として自治意識を高揚させるものでもある。
A行政にとっての意義
 わが国の経済は低迷状態にあり、税収の減少、また、少子高齢時代を迎えて、今までより、行政サービスを増加させることは困難な状況にあるため、抜本的な行財政改革が求められている。ただ、この改革は住民へのサービスの低下も含めた歳出削減への取り組みとするのではなく、補完性の原則に基づき、市民の公益活動への参画を促すべきものである。市民活動団体(NPO)への委託や協働により、行政では困難な多様なサービスの提供を可能にすることができる。
B住民にとっての意義
 戦後の復興から、高度経済成長を経て、私たちの生活は豊かになったが、その結果、価値観、住民要望が多様化、個別化してきた。阪神淡路大震災の時も多くのボランティアが活躍したことは記憶に新しいが、従来の行政では提供できなかった個別に対応した多様なサービスを市民活動が提供した顕著な事例といえよう。住民はこうした身近な人々による家庭的なサービスの受益者としてだけでなく、公益活動への関心を高めることにもなり、ひいては提供者としての雇用の機会となる可能性がある。

2.協働の意義

 行政は、定型的なサービスを安定的に公平に提供する役割があり、市民活動団体(NPO)は、個々に対応して、機能的にサービスを提供することに優位性を持っている。このようにそれぞれの機能があり、制約条件も違うことから、お互いの長所を生かし合い、短所を補い合うことで、新しい要望に対応するよりよいサービスの提供が可能である。
 それぞれが共通の目標を持ってお互いの違いを認めながら、利用者や消費者といった第三者の評価が最大限に得られるまちづくりを考えていく必要がある。
 市民活動団体(NPO)、企業、行政そして利用者であり消費者である住民、それぞれがメリットを得ることが協働の意義であり、この積み重ねが豊かな地域社会を創ることになると考えられる。

3.協働の原則

 市民活動団体(NPO)と行政が協働するためには、次の原則を尊重して進める必要がある。

・対等の原則… 上下の関係ではなく、対等な立場で相互に補い合う
・自主性尊重の原則… 市民活動の持つ長所を生かせるよう自主性を尊重する
・目的共有の原則… 共通の目的を達成するために、協力・協調する
・相互理解の原則… 双方の違いを理解し、それぞれの役割を果たす
・補完性の原則… 市民により担えるものは、行政より優先される
・情報公開の原則… 行政等との関わりなどを公開し、透明性を確保する

4.市民活動の現状と課題

 現在、市内には特定非営利活動法人(NPO法人)が7団体(平成15(2003)年3月1日現在)あり、法人格はないが約100団体(平成12(2000)年9月内閣府市民活動基本調査)が公益的な活動をしていると考えられる。
 現在、市民活動団体(NPO)は、増加傾向にあるものの、以下の課題を多くの団体が抱えている。

@資金
 市民活動団体(NPO)にとって、家賃、人件費等の経常的経費や事業を行っていく経費など最も大きな悩みは資金の問題である。また、企業や行政の助成制度などは、単年度のものが多く、継続的に得られるものが少ない。
寄付の提供者に対しては、現在、税制上の優遇措置はあるものの、その条件はきびしく、市民活動団体(NPO)が寄付金を募りにくい状況がある。
A人材
 魅力があり、責任を持った活動をするためには職員に人材が求められる。活動における専門性だけでなく、指導力や経営管理、チームワークを育む人材も必要となる。
 資金の問題とも関連して、有給の事務局職員がいないため、特定の個人に時間的、経済的な負担を強いていることも考えられる。
B情報
 いろいろな情報が的確に入手できるシステムや情報を発信するノウハウ、そしてネットワークが必要である。IT技術が発達しているが、まだ、機材や使いこなせる人材が不足している。また、集約的に情報が得られるセンター的な場がない。
C活動拠点、事務機材等 
 事務所の家賃や維持管理費が大きな比重を占めるため、個人宅に事務所を置くところが多い。また、活動に必要な印刷機・コピー機などの機材を、単独の団体が所有することは困難である。
D社会的評価
 市民活動団体(NPO)の存在が知られるようになってきたが、十分な理解が得られていないのも現状である。
 市の市民活動に関する情報や学習機会の提供、また、市民活動団体(NPO)自らの情報開示や広報活動が、まだ十分でないことも一因であると考えられる。

最終更新日:2006年10月4日

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