福岡市の福岡空港や博多港などでも20日、指紋と顔写真を利用する入国審査が始まった。早朝から続々と到着した外国人乗客からは「安全対策のためには仕方がない」という意見の一方で、無条件に個人情報を提供することへの嫌悪の声も聞かれた。

 この日、福岡空港国際線ターミナルでは、朝一番にタイやベトナム、シンガポールから到着した便の外国人乗客が、入国審査ゲートに長い列をつくる光景が見られた。

 中には両手の人さし指にスキャナーがうまく反応せず、ウエットティッシュで湿らせて指紋を採取し直す人もおり、入国審査官は「いつもより時間がかかった」と苦笑い。タイのバンコクから観光で来日したという会社社長リット・ティラコメンさん(56)=男性=は「スムーズではなかったけど、どの国でも安全が求められる時代だから」と理解を示していた。

 納得のいかない表情を見せたのは、韓国・釜山から船で博多港に到着した大学職員の韓国人男性(45)。「楽しい気持ちで家族旅行に来たのに、潜在的な犯罪者のように扱われているようで不快だ」と憤っていた。

=2007/11/20付 西日本新聞夕刊=