秋陽戀ひしきヱンマ蟋蟀


 久しぶりに肉眼で生きている昆虫に出会えることができた.正午前にバス停でバスを待っていると,それこそ「のそのそ」と,メスのエンマコオロギが身体を這いずっていたのだ.オスの鳴き声は今月に入って聞えなくなったから,とうに天国へ行ったのだろう (解剖すると分かるけど,内臓が臭いんだよな).

 雨の日と晴れの日が繰り返され,生き残ったメスは湿った地面を探し,卵を産み付けていく.そして晴れた日には日光浴を兼ねて移動をするのだが,やはり同時に産卵期に入った肉食昆虫のカマキリや野鳥らに食べられていくのである.彼女はそうした生き物の営みの生き残りなのである.

 コオロギやスズムシを飼ったことがある人なら知っての通り,彼女らの尻尾には長い産卵管がついている.面白いことに,比較的幼い頃から産卵管が見られるので,幼虫の段階で雌雄を区別することが出来る (ロリコン趣味のある人は一度試めたれたし(笑)).ここから卵をところてんのように押し出して行くのだけど,湿った土が産卵管より深い場所にないと卵詰まりを起こしてしまう.それだけに,彼女らはより湿った土を好むという訳だ.(写真を見ると分かると思うが,彼女の産卵管は短くちぎれている.老齢に達した彼女を「子供の産めないババア」と罵声を挙げられる愚か者はむしろこの世から抹殺された方が良かろう)

ちなみに古代のゴキブリの化石を見ると,かつてゴキブリも産卵管を持っていたことが分かる.ゴキブリの産み付ける卵鞘はどうも産卵管の時代のなれの果てのようだ.ついでに,日本最古の昆虫は山口県美祢市大嶺炭鉱で見つかった,三畳紀の triasoblatta という体長 1.6cm のゴキブリ (学名に Blattidae とか Blattella というラテン語がくっつくと,それはゴキブリのなかまです) であって,ムカシトンボではない.日本昆虫学会は恥を知れ.ラテン語なんか必要ないなどという医学生も,解剖学と細菌学(微生物学)と寄生虫学(例えばギョウ虫は Enterobius vermicularis)の単位が取れなくて留年 → 退学することになるわけだ(笑)

 来週は In Thanksgiving である.それまでには彼女たちも息絶えるであろう.今年の灯油は 18Lが 1600円近いとガソリンスタンドの親父に聴いた.今の灯油が来月まで保つか,人間も越冬記へと入ったようだ.
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