妊娠経過の確認や異常の早期発見のための妊婦健診で、県内の市町村が無料で健診を受けられるように公費で負担している回数は、2・1回(8月現在)と全国平均の2・8回を下回っていることがわかった。厚生労働省は1月、妊婦健診を「5回程度は公費で負担するのが原則」と各都道府県に要望を出している。今年度、受診促進のために地方交付税を増額したが、県内の市町村では進んでいない現状が明らかになった。(及川綾子)
妊婦は出産までに14回程度の健診を受けることが望ましいとされている。妊婦健診は保険診療の適用外であるため、1回約5千円、血液検査などを行えば1万円前後を支払わなければならない。現在、妊娠前期と後期の各1回の健診は無料で受けられる。
これに対し、厚労省は経済的な理由などから受診をあきらめる人が出ないように、5回程度は公費で負担するよう求めている。具体的には妊娠8、20、24、30、36週前後の5回。問診と診察、血圧・体重測定、尿検査、血液検査などだ。
ところが、財源となる地方交付税の使い道は各市町村にゆだねられているため、一律の実施は難しいとの指摘がある。
同省のまとめでは、「2回以上3回未満」が30都道府県と全体の63・8%を占めた。最多は秋田県の10回で、次いで「5回以上6回未満」は3県だった。
首都圏では、東京(2・1回)、神奈川(2・2回)、埼玉(2回)といずれも全国平均を下回った。
県内で2回以上無料なのは、浦安市(3回)と野田市(4回)。また、調査後の10月には、横芝光町が5回に増やしている。来年度以降増やす方向で検討しているのは50市町村という。
救急搬送の妊婦が医療機関に受け入れを拒まれるケースが千葉市や柏市などでもあり、問題となった。背景として浮かんだのは、かかりつけ医をもたずに健診を受けていない妊婦が拒まれるケースが目立ったことだ。
市町村ごとにばらつきがあることについて、自治体の担当者は「各自治体で妊婦の数も違えば、財政事情も異なっているのではないか」とみている。