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オシム監督の入院する病院から出る日本協会の川淵キャプテン
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日本代表のイビチャ・オシム監督(66)が、勇退する方向となった。日本協会の川淵三郎キャプテン(70)は20日、急性脳梗塞(こうそく)で倒れたオシム監督が入院している千葉・浦安市内の順天堂大浦安病院を訪れ、同監督の家族と緊急会談。日本代表監督の後任選びを含めた協会としての見解を伝えた。同監督が今月中に会話ができる状態に回復しなかった場合は勇退することになる。この会談を持ったことで今後、ポスト・オシムの人選に向けての動きが進展することになった。
川淵キャプテンが苦渋の決断を下した。午後6時45分、オシム監督が闘病を続ける順天堂大浦安病院に到着。7時30分に病院を出るまで、アシマ夫人、息子の千葉・アマル監督と緊急会談を行い、その席で今後の日本協会の方針を説明。それは、今月中にオシム監督が会話ができる状態に戻らなかった場合には契約満了に伴う勇退とし、さらに、後任監督を決定するというつらいものだった。
この日、ついに川淵キャプテンは動いた。午後4時すぎに群馬・高崎経済大での1時間半の講演を終えると、その足ですぐに車を走らせた。「オシムさんが元気になれば今後についての意見を聞くことになるが、タイムリミットがある。ただ、家族の意見も大事。神経を逆なでしたくない」。家族同様にあるいは、それ以上にオシム監督の回復を願っているが、身を切ってでも決断する必要に迫られていた。
日本代表は来月3日からは3日間の短期合宿が予定されている。そして、年が明ければ2月6日から始まる10年W杯南アフリカ大会のアジア3次予選に向けての強化が本格化し、1月中旬には強化合宿が始まる。日本独自のサッカーを掲げて、着実に成長を遂げてきたオシム監督が復帰するのが理想だが、残された時間は限られている。既に技術委員会も後任のリストアップ作業に入っている。本格的な後任の人選に入る前に、協会のトップとしてアシマ夫人や息子のアマル監督に仁義を通した形だ。
オシム監督の意向を聞くタイムリミットについて川淵キャプテンは講演後、「11月いっぱいも(話すのが)不可能となったら、ある程度のところで決断をしないといけない」と今月中を期限とし、12月早々にも後任監督を決める方針。家族との緊急会談は「お互いの意思疎通を図って納得した形で次のステップに進む」ための避けられない儀式だった。
オシム監督は意識こそないものの日々、前進を続けている。意識が戻れば体にマヒはあっても言語障害は避けられるのではないかとの見方もある。現場復帰は無理でも日本代表にアドバイスを送れるほどに回復することも十分考えられる。だからこそ、川淵キャプテンは家族に対しても今後のサポートを約束した。
後任には前横浜監督の岡田武史氏やG大阪の西野監督、浦和のオジェック監督らが候補に挙がっているが、オシムスタイルを継承できる人材が第一条件。考えながら走るサッカーは継承される。
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