一億二千万円もの債務超過が発覚した岡山市シルバー人材センターの問題。弁護士らでつくる専門委員会の審議が大詰めを迎えていますが、原因、責任、再建計画とも疑問点が目につきます。
無謀な支出でうまれた赤字を金融機関からの借り入れでまかない、発覚しないよう決算書類を操作する。債務超過はこんな構図で起きました。
市は不正な経理を行った職員と見過ごした管理者に重い責任があると指摘しました。ところが損害賠償請求は困難との見解を示し、代わりに相応の寄付を求めることを提案。専門委も了承しましたが、本来あるべき形には思えません。
そもそも赤字を生んだ「無謀な支出」の中身がはっきりしない。九月の報告で市が原因の一つに挙げていた六千七百万円の未収金は、後にほとんど支払われていたことが判明しました。では原因は何なのか。コピー機やパソコンの割高な賃借料、赤字覚悟の仕事受注などが挙げられていますが、詳細は明らかになっていません。
実態解明が十分とは思えないまま、市は再建素案を提示。職員削減や給与の二割カットなどで黒字化を図り、市から受ける低利融資を返済するそうです。しかし、問題発覚後に同センターへ派遣された市職員二人の人件費、低利融資される資金が税金ならば、結局、市民負担が増えることになります。
高齢者の生きがいにつながる事業の継続に異論はありませんが、原因と責任が不明確なまま進める再建論議では市民の納得は得られないと思います。(政治部・板谷武)