今晩の話題
(2007年11月7日 夕刊 1面)
「沖縄人の先祖」
一日オープンした県立博物館・美術館の開館記念展「人類の旅〜港川人の来た道」。その展示に合わせて、最古の日本人とされる港川人四体の人骨が、研究のため保管している東京大学から五年ぶりに里帰りした。
港川人は一九六七年に具志頭村(当時)の採石場で見つかった約一万八千年前の人骨。縄文人の先祖といわれ、中国南部の柳江人やインドネシア・ジャワ島のワジャク人と近似するという。
発見者の故大山盛保さんは「沖縄に立派な展示施設ができれば、大学は返すと言った。県民が常に本物を見ることができるようにしたい」と生前話していたという。その願いがかない、二体が沖縄で保管されることになった。
小柄で頑丈な下半身に、ほお骨が張った彫りの深い顔。港川人は、まさにウチナージラー(沖縄の人の顔)だ。
沖縄人の直接のルーツと思われていたが、最近の研究で十二世紀ごろのグスク時代の前後で人骨の特徴が大きく変化しているのが判明した。
どちらかと言えば、現代沖縄人は本土の日本人に近いというのだ。
その一方で、南方系のDNAも持ち合わせている。海上の道に連なる沖縄の島々は、多種多様な文化が入り混じって、独自のアイデンティティーを生み出した。
本土に行くと何度も「沖縄から?」と訪ねられる筆者の暑苦しい顔と違って、最近の若い人たちの顔つきがさっぱりと見えるのは、「大いなる進化」なのだろうか。(伊禮健)
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