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第5回 妻の観察

 妻の観察といっても、今さら三段腹の女房は鑑賞に耐えない とお思いの方もおられるかも知れません。「妻」は、建築用語で 棟と直角の壁面を指します。
 妻の上部壁面の扱いは、建築様式により、また時代により、 寺社それぞれに異なる姿が見られます。
 馴染みのない建築用語が多いため、敬遠されがちですが、い くつかの言葉をクリアすれば、難しいものではありません。 まず、和様建築の神殿等に見られるのが豕扠首(いのこざす)です。猪子扠首、猪子差などとも書きます。扠首というのは、切妻屋根で、材を合掌形に組んだものをいいます。 
 

奈良・平安時代になると、虹梁(こうりょう)と蟇股(かえるまた)が現れます。虹梁とい うのは、下図のように、やや反りを持たせてつくった化粧梁(はり)をいいます。虹をかけたような姿を連想させる命名です。
 ちなみに、海老虹梁(えびこうりょう)というのは、高低差のある所に湾曲して 架した虹梁のことで、向拝などに見られます。海老反りのイメージです。
唐様になると、虹梁と大瓶束(たいへいづか)という構成になります。大瓶束は、虹梁の上に立てる瓶子形の束柱です。

 さらに後世になると、木連格子(きつれこうし)を妻全面にはめ込む様式が現れます。 これは格子の裏面に板を張ったもので、狐格子または妻格子とも呼ばれます。
  これらさまざまな妻の様式は神社や寺院の本殿に限らず、摂社や手水舎などの妻側にも見られます。 
 
Copyright 2005 Haruhiko Toyama Rights Reserved. 著作・監修:外山晴彦(とやまはるひこ)