売り手市場「バブル以上」 県内大学院工学系修士課程の学生
2007年11月17日
県内大学院の工学系修士課程の学生の就職が好調だ。団塊の世代が退職時期を迎え、大企業による研究者や技術者の争奪戦が激化していることや、豊富な知識が高く評価されていることが理由だ。大学関係者は「バブル期をしのぐ売り手市場となっている」と話す。
景気回復とともに、富山大大学院は理系、文系とも就職状況が好転。特に工学系の人気が高い。理工学研究科工学系修士課程の就職率はここ五年間、平成十四−十六年度は95−97パーセント台で推移していたが、十七、十八年度はいずれも100パーセントを達成。来春の就職希望者もすべて就職先が決まっている。
物質生命システム工学科の教授の研究室には、四月以降の半年間で約七十社があいさつ回りに来ている。この教授は「これまで求人が少なかった半導体関連企業や自動車メーカーなども見られるようになった」と話す。機械知能システム工学科の教授は「企業は再来年採用をにらんだあいさつ回りを既に始めている」と言う。
県立大大学院でも、来春の修士課程修了予定者六十人のうち、博士課程に進む三人を除く五十七人が九月までに就職先を決めた。
企業は研究する力や知識だけでなく、研究成果を説明する能力や企画力を重視している。富山大、県立大の大学院就職担当係は「院生は学会などで発表する機会が多く、企業側が望む素養を養っている」と口をそろえる。
一方、工学系博士課程への進学希望者は少ない。企業側も事業内容と学生一人一人の研究テーマが一致しないことや、修了時の年齢が二十代後半と高いことなどから、敬遠する傾向にある。来春の就職先を決めた富山大大学院修士課程の学生(25)は「博士課程は研究テーマがさらに専門的になり、就職する際の選択肢が狭くなるように感じる」と話している。