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山田洋行:過大請求の処分見送りは異例 通常は取引停止に

 02年に発覚した防衛専門商社「山田洋行」による約1億8000万円の過大請求問題で、処分を見送った防衛庁(当時)の措置が、前例と照らして極めて異例だったことが分かった。過去には、水増し額約3400万円で約8カ月間の取引停止処分を受けたメーカーもあった。次期輸送機(CX)のエンジン選定の募集公告を前に、同社が巨額の利益を確保するため、守屋武昌前事務次官(63)に相談のうえ、処分回避を画策した疑いがあり、東京地検特捜部が解明を進めている。

 この問題は、おとりの金属片や熱源を発射して敵のミサイルを誤誘導する装置「チャフ・フレア・ディスペンサー」を巡り、同社が約1億8000万円を過大請求したもの。同庁担当者の指摘で発覚したが処分は受けず、02年5月、同額分を減額して再契約した。

 ところが関係者によると、同庁は88~06年度、16社を水増し請求で処分した。いずれも工事に要した人数や時間などを実際より多く計上する手口で、約318億円を水増しした「日本電気(NEC)」(東京都港区)や約231億円の「日本無線」(新宿区)の場合、ともに約15カ月間の取引停止処分になった。水増し額が約3400万円と最も低かった「日進電子」(豊島区)でも約8カ月間の取引停止で、防衛省元幹部は「山田洋行の処分見送りは異例」と証言する。

 同省によると、過大請求が発覚した場合、契約部門から経理装備局長に報告。調査の結果、同局長が業者名公表や取引停止処分を行うが、山田洋行については「問題なし」と結論づけた。

 山田洋行に対する調査が行われていた02年2月ごろ、元専務、宮崎元伸容疑者(69)=業務上横領容疑などで逮捕=の依頼を受けた同社の担当者が、防衛局長だった守屋氏に相談。その後、守屋氏が契約を担当した管理局原価計算部(当時)に電話をかけた経緯が既に明らかになっている。

 CXエンジンの募集公告は同11月にあり、山田洋行が販売代理店を務めていた米ゼネラル・エレクトリック(GE)を含む3社が応募。翌年8月の装備審査会議(議長・守屋氏)でGEが選ばれた。処分を免れた形の山田洋行は、04、05年度に計5基(約39億円)の受注に成功している。

毎日新聞 2007年11月19日 2時30分

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