厚生労働省の医道審議会部会は19日、新人医師に2年間義務付けられている「臨床研修制度」について、人口当たりの医師数が全国平均を上回る地域の病院では募集定員を減らすなどの見直し案をまとめた。医師不足対策の一環で、病院側が決めていた定員を調整するのが狙い。一般から意見を募ったうえで、来年度にも導入する。
04年度に始まった臨床研修制度は、総合的な診療能力向上を目的に、1年目に内科、外科、救急の基礎科目、2年目に産科や小児科などを経験する。大学の医局による「囲い込み」がなくなった半面、新人医師の大学病院離れから、地方の医師不足や偏った配置の一因になっていた。
見直し案は、研修医が必要な病院に配置しきれない現状を踏まえ、約1000施設ある研修病院の指定基準を見直し、人口比で医師が全国より多い地域の病院には定員の削減を要請するとした。
医師不足が著しい産科と小児科については「意欲を高めるため1年目の基礎科目に加えるべきだ」との関係学会の要望は受け入れられなかったが、1年目からの前倒し研修も可能とする弾力的な運用を推奨した。【清水健二】
毎日新聞 2007年11月19日 20時18分