全盲男性患者置き去り病院、連れ出した男性に謝罪へ
全盲の糖尿病患者を公園に置き去りにした「新金岡豊川総合病院」(堺市北区)が、その1か月前にも別の男性患者(54)を退院時に行き先も決めないまま南海岸和田駅前まで連れ出していた問題で、病院側が18日、記者会見し、「厄介払いと思われても仕方がない」とし、男性に後日、謝罪する意向を示した。この問題で退院手続きの不備を改善指導した堺市保健所は、病院側から事情聴取するなど再調査する方針。
記者会見には、同病院の豊川泰樹・院長室長らが出席。豊川室長は、入院中に男性が他の患者と金銭的なトラブルを起こしていたことなどを説明。駅前に連れ出した8月23日は、男性自らが退院すると言い出し、病院側は「退院すると戻れないですよ」と念を押したが、男性は荷物も持たず、いったん外出したという。
病院側はこの時点で「男性が退院したと認識した」と説明。その後、男性は病院に戻ってきたが、他の患者とトラブルになりかけたため、職員らの判断で、「緊急避難的」に車で連れ出したという。
豊川室長は「厄介払いだと言われても仕方がないところもある。もっと考えるべきだった」と改めて退院手続きに不備があったと認め、陳謝。しかし、「病院の方針ではない。指示も絶対にない」と強調した。
一方、堺市保健所も同日、坂口兼・医療対策課長らが記者会見。10月中旬に病院から事情聴取し、退院手続きの不手際を口頭で指導しているが、強引に退院させられた事実がなかったかを再度、調査することを明らかにした。
(2007年11月19日 読売新聞)