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「温暖化対策強化、今年から利子補給」――政投銀担当者に聞く<下>日本政策投資銀行・公共ソリューション部CSR支援室の佐賀浩調査役に環境格付融資制度について聞いた。
――環境格付融資制度とはどんなものか。 「環境配慮型経営促進事業」として2004年にスタートした。今年丸々4年たち、10月末時点で融資実績として100件超、総額は1400億円強となっている。 ■融資実績、累積100件1400億円超に 特徴は企業の環境格付に応じ金利を優遇することだ。環境スクリーニングを採点化し、それを金利に結びつけたのは世界で初めてだ。 対象は企業の環境保全費用。例えば設備だと公害防止に関わる機械設備のほか、設備資金以外でも研究開発やリサイクル資金なども入る。 企業から環境格付融資を受けたいというお申し込みをいただいたら、通常の企業審査と平行して企業の環境格付をする。環境格付で一定の得点に至らない場合は対象外だが、合格となった企業には3段階で金利を優遇する仕組みだ。 ――民間金融機関で同様の融資メニューはあるのか。 民間金融機関にも企業の環境配慮を評価する金融商品が数多くある。ただ当行の場合、約120項目もの質問を設定し、詳細に渡り企業の環境配慮への取り組みをチェックしている。環境格付にあたっては、環境報告書の内容の精査に加えて、環境部へのインタビュー調査など多面的に情報を収集している。 環境格付融資は当行の金融商品の一つではあるが、高い環境格付をとることを目標に設定している企業もあり、ある種の環境経営診断的な側面もある。 スクリーニングは3分野に渡って行っている。1点目は経営全般、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、情報開示、リスクマネジメント。企業経営の中で環境配慮をどう位置づけているか。 2点目は事業関連。製品開発、設備投資、物流。企業の事業活動でどう環境に配慮しているかを見る。環境配慮型製品があるか、物流面ではモーダルシフトを進めているか、製品リサイクルをしているか、といった点だ。 3点目はパフォーマンス。工場や事業所が実際にCO2をどれだけ排出しているか。過去と現在でどう改善したか、を数値データとして比較する。 ――格付はAAAなどと表示するのか。 「特に先進的」「先進的」「十分」という3段階だ。2006年度から250点満点中、200点以上の企業は特別表彰をしている。 環境格付では250点満点。得点によって格付けが変わり、大企業と中小ではさらに基準が異なる。 合否の分岐点は大企業120点、中小80点以上。156点以上はとくに「先進的」企業として最優遇金利を適用している。 ――ここにきて伸びが落ち込んでいる。 資金需要のクセがあり、期末や下期に集中しがちだ。ただ、スタートから4年間、利用企業数は順調に推移している。同じ企業が何度も利用するケースもあり、100件には達したが社数をもっと増やしたいと考えている。 環境格付を取得して当行から融資を受けたことを明示的にPRしたいという企業の要望に応えるため、2006年度から「環境格付ロゴマーク」を導入した。ホームページや環境報告書などでご利用いただいている。
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