大ヒットした前作に負けないぐらいの秀作だった。公開中の映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」である。
昭和三十四年の東京の下町を舞台に、高度経済成長に入る直前の庶民の人情ドラマが温かく描かれている。手回しのローラーで絞る洗濯機やオート三輪車など、あの時代を生きた人なら懐かしさがこみ上げてくるような場面が次々に登場する。
高速道路が上部に出来ていない「空の見える日本橋」には、すがすがしさを覚えた。真庭市に残る国指定重要文化財・旧遷喬尋常小学校でのロケも効果的に使われている。
この映画のキーポイントは夕日である。そのまぶしさに目を細め、一日の終わりを体全体で感じ取る。家族がそれぞれ一生懸命に働いたり遊んだりした後、日が沈むと全員そろってちゃぶ台を囲んで食事を取る。それが当たり前の時代だった。
長時間労働による過労死や少子化などが問題となる今、ワークライフバランスの重要性が叫ばれるようになった。「仕事と家庭生活の調和を図ろう」という意味で使われる。それほどバランスが崩れた生活になっているからだ。
二十四時間型社会となり、夕日を見て一日の終わりを思うような環境ではなくなった。だが、これで良いのかという疑問を抱いている人は多いのではないか。休日ぐらいは夕日を眺め、バランス感覚の大切さに思いをはせたい。