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いじめ6倍の12万5千件 文科省の06年度調査 '07/11/15

 二○○六年度に全国の国公私立の小中高校が認知したいじめの件数は計十二万四千八百九十八件だったことが十五日、文部科学省の問題行動調査で分かった。昨年いじめ自殺が相次ぎ、被害者の気持ちを重視する形にいじめの定義を拡大、国私立校も調査対象に加えたため前年度二万百四十三件の六・二倍に増えた。

 いじめが絡む自殺者は六人いた。

 いじめ件数は一九九四年に愛知県で起きた中学二年大河内清輝君=当時(13)=のいじめ自殺などを機に、学校が確認したケースに限らず、被害者側の申告があれば計上するようにしたため、九四年度は前年度の二・六倍に急増、その後は減少傾向が続いていた。

 調査によると、今回認知したいじめの81%に当たる十万千八十九件は「解消した」とされ、文科省は「件数は真摯(しんし)に受け止めるが、学校現場が多くのいじめを把握、解決の努力をした結果」としている。だが関係者からは「実態を表していない」との声も出ている。

 自殺は公立校が前年度から三十人増の百三十三人、国私立校を含めると百七十一人。このうちいじめを受けていたのは愛媛県今治市の中一男子=当時(12)、福岡県筑前町の中二男子=当時(13)=ら中学生五人と高校生一人の計六人。

 文科省は過去七年連続でいじめ自殺を「ゼロ」として批判が集まったため今回、主な原因を一つ選ぶ方式から、当時の状況を複数選ぶ方式に変更。自殺件数は警察庁のデータとも照合したが、保護者が学校に「自殺ではない」と報告するケースも多く、開きがあった。

 学校種別のいじめ件数は小学校六万八百九十七件、中学校五万千三百十件、高校一万二千三百七件。いじめを認知した学校数の割合は小学校で48%、中学校71%、高校59%で、多くの学校でいじめがあった。

 複数回答でいじめの内容を聞いたところ「冷やかしや脅し文句」などが最多で全体の66%が該当。パソコンや携帯電話のメールなどによるひぼう中傷の「ネットいじめ」も4%あった。いじめる児童生徒への対応では、出席停止の措置も小中学校で計三件あった。

 都道府県別に児童生徒千人当たりの件数をみると、最も多い熊本県(五○・三件)と最も少ない鳥取県(二・一件)で二十四倍の開きがあった。

 学校内外での暴力行為は、小中高校全体で約一万件増の四万四千六百二十一件だった。




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