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社説

いじめ急増 学校が意識を変えねば(11月18日)

 小中高校でのいじめが後を絶たない。件数も急増している。文部科学省の二○○六年度の調査では、いじめが原因の自殺者が全国で六人いた。多くの子どもがいじめに苦しむ現実に心が凍る。

 表面化しにくい、陰湿ないじめもある。教師、父母、地域住民が協力し、いじめを洗い出す必要がある。学校側が意識を変え、事実を隠さず前向きに対応することが大切だ。

 道内では約七千九百件のいじめが確認された。前回調査の十倍以上だ。

 道教委と札幌市教委が昨年十二月に実施したアンケートでも、道内で三万三千人超が「今、いじめを受けている」と訴えている。

 文科省調査を上回るデータだ。学校が把握できていないいじめがあるのではないか。子どもの生活を見つめ直す必要があるだろう。

 子どもたちの周囲では、インターネットや携帯電話を使って、言葉によるいじめがはびこっている。

 インターネット上の掲示板で「学校裏サイト」を立ち上げ、相手の実名を挙げて「死ね」「きもい」など悪質な書き込みが行われることもある。

 問題は、学校側が、こうした実態をつかみきっていないことだ。

 裏サイトは見つけることが難しい。教師が気付いても、すぐに別のサイトが開設されてしまうという。

 道教委によると、いじめの当事者ではない子どもが、見て見ぬふりをしているケースもあるという。

 いじめは悪いが、傍観も許されない。このことを父母や教師は子どもによく伝えてほしい。

 道内では、学校がいじめを知ったきっかけは「担任の情報」「子どもへのアンケート」「本人からの訴え」が大半を占めた。

 だが、「親からの報告」は皆無に近い。子どもにとって一番身近であるはずの親が、いじめに気づいていないことが十分に考えられる。

 「地域住民からの通報」もほとんどない。いじめの実態が、住民に見えにくくなっているのだろう。

 いじめの兆候をできるだけ早くつかむことが対策の基本だ。学校、家庭、住民が協力して情報を共有し、対処できる仕組みがほしい。

 道内では昨年、いじめが原因で自殺した滝川市の小学生について、道教委と滝川市教委がいじめを認めず、遺書を放置していた問題が発覚した。

 これを教訓にして、文科省は今回の調査で、いじめの定義を被害者の気持ちを重視する形に改めた。

 都道府県によって、いじめの件数に大きな差が出る結果になったが、問題は数ではないだろう。

 いじめを隠さずに対処する学校側の意識改革が大切だ。このことを学校関係者は忘れないでほしい。

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