CLAIR REPORT


韓国の住民登録制度について

(財) 自治体国際化協会 CLAIR REPORT NUMBER 132 (January 31, 1997)






Council of Local Authorities
for International Relations











財団法人自治体国際化協会
〒102 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビルディング19階
TEL 03-3591-5483 FAX 03-3591-5346




目 次


はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


第1章 住民登録制度の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    第1節 共通番号制度について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        1 目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        2 沿革 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        3 諸外国における共通番号制度について ・・・・・・・・・・・・・・・
    第2節 住民登録制度の概要について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        1 住民登録の対象者と登録方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
         (1) 登録申告による申告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
         (2) 出生届による申告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
         (3) 再登録申告による登録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
         (4) 職権による登録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        2 番号の構成と付番方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        3 事務の管掌 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    第3節 住民登録証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        1 発給手続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        2 登録証の内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        3 住民電子カード ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    第4節 住民登録事項の閲覧及び謄・抄本の交付 ・・・・・・・・・・・・・・・
        1 閲覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        2 交付 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
         (1) 居住地のある邑面洞事務所での交付 ・・・・・・・・・・・・・・
         (2) 居住地以外の邑面洞事務所での交付 ・・・・・・・・・・・・・・
    第5節 居住地の異動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    第6節 住民登録管理電算システム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        1 システム体系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        2 保有するデータの内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    第7節 住民登録情報の利用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        1 利用手続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        2 他の行政機関が利用する場合の手続 ・・・・・・・・・・・・・・・・
        3 他の行政分野での利用状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
         (1) 住民登録情報の提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
         (2) 住民登録人的事項が利用できる業務 ・・・・・・・・・・・・・・・


第2章 プライバシー保護 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    第1節 プライバシーに関する意識 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    第2節 公共機関の個人情報に関する法律 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        1 目的及び対象 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        2 情報収集の制限 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        3 個人情報の閲覧請求権とその制限 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        4 個人情報の訂正請求権 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



















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はじめに

 韓国では、住民登録法に基づき、全ての国民に統一的な共通番号を付与し、この番号を幅広い行政分野で利用している。このような住民に統一的な番号を付与する制度は、韓国に限らず各国で実施されている。社会保険制度の給付及び保険料納付の状況を管理するために番号を付与するアメリカ・カナダ型、住民登録などに基づき、全ての国民に番号を付与する北欧型、納税を管理することを目的に税務当局が国民に番号を付与するイタリア型などである。いずれの制度も、この番号が幅広い行政分野で利用されている。韓国の番号制度は、3つの型のうち北欧型に該当する。
 現在、日本において導入が検討されている住民基本台帳番号制度も、この北欧型に最も近い制度であると言える。日本で、この住民基本台帳番号制度が導入されることになれば、大部分の事務は地方自治体で処理されることとなるであろう。
 そこで、本レポートは、その事務が韓国の自治体でどのように処理されているかという視点で作成した。
 したがって、本レポートは、住民登録事務取扱や情報の利用手続などに重きを置いて作成しており、情報利用の現状やプライバシー保護などに関して、深く言及していないことをご了承いただきたい。

 最後に、多くの貴重な資料を提供していただき、また、度重なる聞き取り調査にも快く応じてくれた大韓民国内務部住民課の職員の方々をはじめとする皆様方にこの場をお借りしてお礼を申し上げたい。





第1章 住民登録制度の概要

第1節 共通番号制度について

1 目的

 韓国における共通番号制度は、住民登録法を根拠法とする住民登録制度である。この制度の目的は、行政機関がその管轄区域内に住所又は居所を置く住民を統一的に登録させ、住民の居住状況と異動実態を把握し、行政事務処理の円滑な遂行と国家の人材管理に能率を期するようにするとされている。
 住民の居住状況などを把握することにより、行政の合理化に資するという点では、日本の住民基本台帳制度に相当する制度であると言える。しかし、統一的な共通番号の付与、IDカードの発行及び情報の利用状況などに大きな違いが見られる。

2 沿革

 住民登録法は、1962年に導入されたが、当初は希望者のみ登録を行っていた。1968年の改正で住民個人個人に番号が付与され、18歳以上の者に住民登録証の発給を行うようになり、1975年には、住民登録番号の一斉更新を行うと同時に、住民登録証の発給対象者を18歳から17歳に引き下げ、発給を受ける義務を規定した。
 住民登録証がIDとしての役割を与えられたのは1970年の改正後であるが、当時は行政機関のみで提出・提示が許されていた。しかし、1980年の改正で、これが民間まで拡大されるとともに、住民登録証の所持義務などが規定され、この時期に住民登録証が本格的にIDとしての役割を果たすようになったと言える。
 さらに、1991年には、住民登録事務の電算処理が開始されると同時に、住民登録事項を他人に漏洩した者、利用目的外で電算処理をした者に対する処罰規定や情報利用時の事前承認など、個人情報の保護に関する規定が新設された。

3 諸外国における共通番号制度について





第2節 住民登録制度の概要について

1 住民登録の対象者と登録方法

 韓国国籍を有する全ての国民に登録が義務づけられており、内務部の調査によると1993年12月現在で44,568,873人が登録されている。また、韓国に在住する外国人は、当該登録の義務はなく、それに代わるものとして出入国管理法に基づき外国人登録をしなければならないとされている。
 主な登録の方法は、次の4種類である。

(1) 登録申告による登録
 韓国国籍を有しない者が新たに韓国国籍を取得したときや、何らかの理由で登録がなされていなかった者などが対象となり、登録申告書[資料1]により申請しなければならない。

住民登録申告書による登録事務の流れ

(2) 出生届による申告
 大部分の登録は、これにより処理される。この場合は、出生届を提出すれば、住民登録に関する事務は自動的に処理されるため、別途、登録申告書等による申請の必要はない。

出生届による登録事務の流れ

(3) 再登録申告による登録
 職権や海外移住などにより登録の抹消を受けていた者が対象となり、再登録申告書により申請しなければならない。

再登録申告による登録事務の流れ

(4) 職権による登録
 催告:7日以上の猶予期間を定めて、申告の催告
 公告:申告義務者に催告することができない場合
 職権登録:催告及び公告期間内に申告をしない場合には、事実調査(統・里長確認)と関係公募を根拠に職権登録をしなければならない。

2 番号の構成と付番方法
 共通番号の付与は、1968年10月に導入された。当時、12桁であった番号が、1975年8月の改正で現在使用している13桁に変更された。
 番号は、生年月日、性別、地域番号、個人番号、チェックデジット[注]の5つの項目で構成されている。

(例) 1985.6.15生まれの男性で、鍾路区桂洞に3番目に登録した者



 上の例のとおり、最初の6桁は生年月日である。次の1桁が性別であり、男性は1、女性は2と表示される。但し、1800〜1899年生まれの者は、男性が9、女性が0と表示される。次の4桁は地域番号で、住民登録の事務を行う事務所のコードである。その次の1桁は個人番号(当該日に登録された者の順序)であり、男女別に1から付与される。最後の1桁はチェックデジットである。

[注] ある数が誤って入力されたり転送されたり記憶されたりすることを防ぐために、その数に1又は複数個の数字を加える。そのチェックのためにデータに追加する数字のことをチェックデジットという。

3 事務の管掌
 韓国の地方自治体の種類は、広域自治体と基礎自治体の2つに大きく分けられる。広域自治体は、1特別市(ソウル市)、5広域市(従来直轄市と呼称してきた概ね人口100万人以上の市)及び9道であり、基礎自治体は、69区(特別市・広域市内)、67市及び94郡である(1995.5.10現在)。また、自治区ではないが、下部組織としての役割を果たす邑、面、洞などがある。
 住民登録に関する事務は、市長(広域自治体の首長を除く)、郡長、区長が管掌し、この権限を条例に基づき、邑・面・洞長に委任することができる。申告書の受付から住民登録証の交付に至るまで、ほとんどの事務は、邑・面・洞事務所等で行われており、当該事務所は、全国に約4,000カ所設置されている。なお、住民登録事務に関する指導監督は、内務部長官が行うとされている。
  住民登録事務に関する各機関での主な業務を挙げると次のとおりである。

 市、郡、区
 住民登録証用紙の受領及び確認
 住民登録証のビニールカバー接着
 回収した住民登録証の廃棄
 住民登録に関する事務経費負担
 住民登録電算システム管理運営
 邑、面、洞
 各種申告書の受付処理
 住民登録票の作成管理
 世帯別住民登録票索引簿の設置及び管理
 住民登録証の付与
 住民登録番号の発給
 回収した住民登録証の保管
 住民登録の電算出入力及び資料管理

韓国の地方行政体系

第3節 住民登録証

1 発給手続

 先述したとおり住民登録証は、全ての国民を対象に発給されるのではなく、満17歳以上の者が対象となる。まず、邑面洞事務所で新規発給対象者名簿に基づき、対象者に発給通知書[資料2]を送付する。通知を受けた対象者は、邑面洞事務所で住民登録証発給申請書[資料3]の交付を受け、必要事項を記載し、自分が居住する統・里長の確認を受けた後、満17歳の誕生日の次の月の1日から6ヵ月以内、に証明写真3枚と共に邑面洞事務所に申請書を提出しなければならない。住民登録証は、申請後、3、4日で事務所の窓口にて交付を受けることができる。

住民登録証の発給手続の流れ

2 登録証の内容

 住民登録証の表面には、姓名、住民登録番号、本籍、住所、戸主、兵役、発給年月日、発給場所が記載されている。裏面には、変更内容(ほとんどが住所変更)とその日時の記載及び回転指紋が捺印されている。
 カードの材質は、銀が混合された紙を使用し、文字は滲み及び磨滅防止のために墨書を用いている。また、偽・変造を防ぐため、特殊なインクで印刷されるとともに、いくつかの秘密表示が挿入されている。

住民登録証

3 電子住民カード

 韓国では、1998年を目標に現在の住民登録証及び医療保険証などを一つに統合した住民電子カードの導入を推進中である。このカードは、姓名、住民登録番号、写真、住民異動内容、戸主、本籍、兵役など、現行の住民登録証に記載されている事項に加え、新たに、医療保険事項、運転免許事項、印鑑登録の3種類の事項が追加される。カードの記憶空間は、8,000字を収録できるように設計される計画であるが、すべての事項を収録したとしても、5,000字程度の容量に過ぎず、将来的には銀行カードへの利用など、他の分野の機能追加も検討していく計画だということである。
 このような多目的電子カードが偽・変造された場合、それに伴う被害は非常に大きいと予想されるが、これらに対しては、カードの中に内蔵されたICチップに固有番号と暗号文字が入力される。固有番号は、一連番号としてカード製造会社で付与され、暗号文字は、業務領域別の該当機関(内務部、警察庁、医療保険連合会など)で責任を持って付与及び管理される。

第4節 住民登録事項の閲覧及び謄・抄本の交付

1 閲覧

 処理手続
 申請者が口頭又は書面で申請
 身元証明書などを提出
 身元証明書により本人の確認を行い、申請書の記載内容及び関連書類の検討
 住民登録票閲覧台帳に申請内容を記載して閲覧
 閲覧申請者と提出書類
 本人又は世帯員:身元証明書
 委任を受けた者:委任状及び身元証明書
 公務上必要な場合:当該機関長の公文書又は身分証明書
 正当な利害関係者:申請書、立証資料及び身元証明書
 直系尊・卑属及び同一戸籍内家族:戸籍関係書類などの証明書及び身元証明書
 閲覧手数料
 居住地のある邑面洞事務所での閲覧:40ウォン
 オンラインでの閲覧:500ウォン

2 交付

(1) 居住地のある邑面洞事務所での交付

 処理手続
 申請者が口頭又は書面で申請
 身元証明書などを提出
 身元証明書により本人の確認を行い、申請書の記載内容及び関連書類の検討
 住民登録謄・抄本の発給
 住民登録謄・抄本交付台帳に申請内容を記載
 交付

 交付申請者と提出書類
 本人又は世帯員:身元証明書
 委任を受けた者:委任状及び身元証明書
 公務上必要な場合:当該機関長の公文書又は身分証明書
 直系尊・卑属及び同一戸籍内家族:戸籍関係書類などの証明書及び身元証明書
 訴訟、非訟事件、競売目的の遂行上、必要な場合:申請書、立証書類、身元証明書
 他の法令で本人又は世帯員でない者に謄・抄本の提出を義務化している場合:用途を記載した申請書、立証書類及び身元証明書
 正当な利害関係者:申請書、立証資料及び身元証明書

 交付手数料
 1件につき60ウォン

(2) 居住地以外の邑面洞事務所での交付(オンライン謄・抄本の交付)

 処理手続
 申請者が口頭又は書面で申請
 −住民登録票謄・抄本オンライン交付申請書
 身元証明書などを提出
 身元証明書により本人の確認を行い、申請書の記載内容及び関連書類の検討
 住民登録謄・抄本オンライン交付申請書の受付証交付
 電算情報システムを利用して、住民登録票謄・抄本を作成
 −電算システムで発給できない場合は、FAXを利用して発給
 交付
 業務終了後、電算システムを利用して、他の邑面洞住民登録票謄・抄本発給内訳を出力して保管する。

 交付申請者と提出書類
 居住地のある邑面洞事務所での交付の場合と同じ
   
 交付手数料
 1件につき600ウォン

第5節 居住地の異動

 日本の住民基本台帳法では、転入・転居・転出をした場合、それに関する届出をしなければならないと定められている。韓国の住民登録法も同様に、居住地の異動に関しては、届出を必要とするが、1994年7月1日の法改正により、転出の届出が廃止されている。

転入手続と事務の流れ

第6節 住民登録管理電算システム

1 システム体系

 現在は、情報化の時代であるということは言うまでもないが、日本では、その波が行政機関で処理される事務にまで押し寄せてきている。地方自治体が行っている住民基本台帳事務を例にとっても、全国3,325市町村の89.4%にあたる2,913団体で電算処理されているという(1994.4.1現在)。
 この情報化の波は韓国でも例外でなく、内務部が中心となり、1991年1月から住民登録事務の電算処理が開始された。このシステムは、住民に関する業務の処理の迅速化、国家人材資源情報の多目的活用、地方行政と中央行政との連携、地方行政体制の先進化の達成という4つを柱としている。システムの体型を図で表すと次のとおりである。

システム体系

2 保有するデータの内容

 現在電算上で保有するデータの数は、11分野、78項目に及んでいる。情報の内容を見てみると、学歴や資格など、行政機関でなぜ保有する必要があるのか理解しにくい情報も含まれている。また、日本ではなじみのない兵役や人員動員などに関する分野も詳しく登録されている。
 住民登録に関して、内務部が保有する情報は次のとおりである。

 基本事項(23項目)・・・・発給地で入力
 住民登録番号、姓名、血液型、婚姻関係、職業、住民登録状態、本籍、本籍/戸主変更事由、戸主姓名、戸主住民登録番号、戸主との間柄、住所、特殊住所、転入月日、住所変更事由及び月日、行政洞名、世帯主、世帯主住民登録番号、世帯主との間柄、電話番号、住民登録証発給日、住民登録証発給事由、学歴
   
 兵役事項(16項目)・・・・国防部から情報提供
 兵役状態/服務区分、処分月日、処分事項、身体等級、軍別、階級、軍番、兵科、特技、入営月日、転役月日、転役事由、転役根拠、役種(兵役の種類:現役、予備役、補充役など)、役種変更事由、就役年月日
   
 予備軍(5項目)・・・・内務部で随時更新
 編成区分、所属、編成月日、編成非対称及び保留事由、兵役動員後の調整/不適格者事由
   
 民防衛(8項目)・・・・内務部で随時更新
 編成月日、編成区分、編成免除/猶予事由、所属、所属変更月日、職責、教育時間、参加時間
   
 人員動員(12項目)・・・・内務部で随時更新
 動員区分、各種記号、保留及び免除事由、動員後順位事由、動員業体名、化学技術者及び重点管理指定、動員訓練年度、訓練日数、訓練実施期間、戦時令状発行月日、申告事項、動員解除月日
   
 免許資格(4項目)・・・・運転免許は警察から連絡、その他免許資格は本人申告
 資格免許種類、登録(発給)番号、発給機関、特記区分
   
 生活保護(4項目)・・・・各自治体で入力
 対象者区分、健康状態、月平均所得額、適用年数
   
 医療保障(2項目)・・・・各自治体で入力
 医療保障区分、診療証(保険証)番号
   
 叙勲(2項目)・・・・叙勲処から情報提供
 国家有功者区分、叙勲番号
   
 学齢児童(1項目)・・・・教育部から情報提供
 猶予免除事由
   
 その他(1項目)・・・・各自治体で入力
 住民登録票保管地

第7節 住民登録情報の利用

1 利用手続

 1996年3月から保険会社が住民登録情報を利用した業務を開始するという記事が新聞に掲載された。記事の内容は、「37の生命・損害保険会社の生命保険加入現況と93、94年死亡統計を比較した結果、32の保険会社で3,235件、119億7,500万ウォンにものぼる死亡保険金が住所不明を理由に未払いとなっており、この対象者の住所を住民登録情報で把握し、本人に連絡する。」という内容であった。
 このように住民登録情報は、民間企業でも利用することができ、その利用にあたっての申請手続きは次のとおりである。
 まず、資料を利用する分野を管轄する関係中央行政機関の長(例えば、保険に関する分野で利用しようとする場合は財政経済院長官)に、資料の利用・活用の目的及び根拠、資料の範囲、資料の提供方法、保管機関及び安全管理対策を記載した住民登録電算情報資料利用・活用審査申請書[資料4]を提出する。
 申請を受けた関係中央行政機関の長は、申請内容の妥当性・適合性・公益性、個人の私生活侵害の可否、資料の目的外使用防止及び安全管理対策などを審査した後、その結果を申請人に通知する。
 この審査結果を住民登録情報利用・活用承認申請書に添付し、全国の資料を必要とする場合は内務部長官に、特別・広域市及び道の資料を必要とする場合は市長及び道知事に、市・郡・区の資料を必要とする場合は当該長にそれぞれ承認申請をする。この時、10,000ウォンの手数料が必要となる。
 承認申請を受けた内務部長官等は、資料の利用又は活用目的及び根拠、資料の範囲、資料の提供方法・保管機関及び安全管理対策、申請した事項の処理が電算組織で可能かの可否、申請した事項の処理が住民登録事務の遂行に支障がないかの可否などを審査した後、資料提供の可否を決定し、申請人に連絡する。資料の提供を受けた申請人は、資料の使用料を支払わなければならないが、印刷物の場合は、1件当たり15ウォン、フロッピーディスクなどの電算媒体による場合は、1件当たり10ウォンである。

住民登録電算資料利用手続の流れ

2 他の行政機関が利用する場合の手続

 他の行政機関が住民登録電算情報資料を利用する場合は、申請内容の妥当性・適合性・公益性などを検討した結果を添付して、資料の利用・活用の目的及び根拠などを記載した公文書で内務部長官又は資料を管轄する自治体の首長に申請する。
 公文書を受けた内務部長官等は、資料の利用又は活用目的及び根拠などを審査した後、資料提供の可否を決定し、申請機関に連絡する。
 使用料は、総金額の1/2に該当する金額を支払わなければならない。

3 他の行政分野での利用状況

(1) 住民登録情報の提供
 検索、閲覧、照会及びリスト作成などの形態で情報の提供が行われている。その一部を挙げると次のとおりである。

 外務部
 旅券発給者人的事項(照会)
 総務処
 公務員家族事項(照会)、年金対象者、支給者人的事項(照会)、公務員居住地実態調査(リスト)
 国防部
 兵役人材管理資料(リスト)、予備郡関連資料(リスト)、現役入営対象者現況(リスト)
 保険福祉部
 医療保険対象者現況(リスト)、生活保護対象者現況(リスト)
 労働部
 技術人材管理及び労働安全対策(リスト)
 科学技術処
 国家人材資源管理資料(リスト)
 国税庁
 競売処分時の事実照会及び確認(照会)、滞納者居住地照会(照会)
 韓国職業訓練管理公団
 技術人材資源現況把握(リスト)
 医療保険管理公団
 医療保険加入資料

(2) 住民登録人的情報が利用できる業務
 住民登録電算情報の人的事項が利用できる業務の一部を挙げると次のとおりである。
 総務処
 公務員年金取扱業務
 外務部
 旅券発給、海外移住者の適格審査及び事後管理
 国税庁
 租税罰則容疑者調査、財産税賦課資料
 教育部
 幼稚園、初・中学校の学生受容計画管理、学校設立及び教師需給計画
 建設交通部
 宅地開発事業/住宅事業、交通及び観光需要対策
 文化体育部
 宗教人の現況管理





第2章 プライバシー保護

第1節 プライバシーに関する意識

 ここまで紹介してきたように韓国では住民登録制度に基づき、すべての国民を対象に統一的に個人情報を管理しているわけであるが、これに関して国民はどのようなプライバシー意識を持っているのであろうか。
 韓国通信開発研究院が実施した電算処理される個人情報の侵害に関する調査によると、回答者の40%が、必ずプライバシーの侵害が起こると回答しており、その可能性があると答えた人を含めると、93%の人がプライバシーの侵害に関して、何らかの不安を抱いているという結果が現れている。
 また、同じ調査で個人情報のうち入力されては困ると回答した項目は、労組加入状況、政党加入状況、犯罪及び前科、疾病や身体障害などの病歴、結婚及び離婚などの婚姻関係、所得、職業及び役職、学歴などの順となっている。

第2節 公共機関の個人情報に関する法律

1 目的及び対象

 高度情報化が進む中、各種業務の電算化の拡大と全国的な行政電算網構築などが進む中で、前述した調査でもわかるようにプライバシー侵害に対する国民の不安は高まっている状況にある。
 このような中で、公共機関のコンピューターによって処理される個人情報の保護のために、その取り扱いに関して必要な事項を定めることにより、公共業務の適正な遂行を図るとともに、国民の権利と利益を守ることを目的とした「公共機関の個人情報保護に関する法律」が1995年1月7日施行され、公共機関が保有する個人情報の開示及び保護に関して法的枠組みが整備された。
 個人の情報保護に関しては、他の法律に特別な規定がある場合を除いては、同法が適用される。
 この法律による情報保護対象は、コンピューターで処理される個人情報に限定されており、手処理される個人情報は対象から除外されている。また、対象機関は、公共機関であり公共機関以外の個人又は団体が、コンピューターを使用して個人の情報を処理する場合、公共機関の例に準じて個人情報保護のための措置を講じなければならないとされている。
 なお、関係中央機関の長は、この個人又は団体に対して行政指導を行うことができるとされている。

2 情報収集の制限

 公共機関は、所管業務遂行のために必要な範囲で個人情報を保有することができるが、思想・信条など個人の基本的人権を著しく侵害する恐れのあるものは収集してはならない。
 また、個人の情報を保有、変更、廃止しようとする場合には、情報保有機関の長は、次の8項目を総務処長官に事前通報しなければならない。

 個人情報ファイルの名称
 保有目的
 保有機関の名称
 個人情報ファイルに記録される対象者及び項目の範囲
 個人情報の収集方法と処理情報を常時提供する機関がある場合にはその機関の名称
 個人情報ファイルの閲覧予定時期
 閲覧が制限される情報の範囲
 その他大統領令が定める事項

3 個人情報の閲覧請求権とその制限
 本人及びその代理人は、個人情報ファイル台帳に記載されている範囲内で、書面による閲覧請求ができ、情報保有機関の長は、特別な事由がない限り30日以内にこれを閲覧できるようにしなければならない。また、一定の事由がある場合には、情報保有機関の長は閲覧を制限できるが、その事由は次のとおりである。

 特別な業務で当該業務の遂行に重大な支障を招く場合
 租税の賦課、徴収又は還付に関する業務
 教育法に基づく学校での成績の評価又は入学者の選抜に関する業務
 学力、技能及び採用に関する試験、資格の審査、保証金・納付金の算定等の評価又は判断に関する業務
 他の法律に基づく検査及び調査に関する業務
 病院等医療機関の診療に関する業務
 その他アからオに準ずる業務であって大統領令に定める業務
 個人の身体、生命を害する恐れがあったり、個人の財産とその権利を不当に侵害する恐れがある場合
 個人情報を閲覧した後、1年が経過していない場合で、すなわち情報の内容に変更がない場合

4 個人情報の訂正請求権
 個人情報の訂正は、情報保有機関の長に書面で請求することができる。請求を受けた情報保有機関の長は、遅滞なく必要な措置を講じた後、その結果を請求人に連絡しなければならないとされている。
 訂正に関する手続きは、住民登録法、戸籍法などの法律で別に定められている。





資料





別紙 第2号書式





別紙 第33号書式





別紙 第33号書式





別紙 第49号書式





参考文献

  講義 行政法T 学研社 姜求哲著
住民登録事務便覧 大韓民国内務部
’95住民登録業務教育教材 大韓民国内務部
住民登録管理電算化業務処理指針書 大韓民国内務部
住民登録管理電算化による対民サービスの改善方案に関する研究  韓国地方行政研究院
行政規定の民願事務実務 国文社
行政事務管理実務 国文社
現行韓国六法 ぎょうせい 法務大臣官房司法法制調査部職員 監修
アジア諸国の地方制度 財団法人 地方自治協会
大韓民国の地方行財政(概要) 財団法人 自治体国際化協会ソウル事務所





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