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関空 商業施設が好調

旅客数伸びず 非航空事業を充実化

 関西国際空港の旅客ターミナルビル内の免税店や飲食店街など商業施設の業績が好調だ。テナントを入れ替えたり、インターネットを活用したりと、限られた空港施設のスペースを有効活用している。飲食や物販などの「非航空系」収入を伸ばし、旅客数や旅客便数の伸び悩みを補おうと、関西国際空港会社が知恵を絞っている。

■免税店・・・目立つ外国人客

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関西国際空港旅客ターミナルの免税店街は、旅客数が伸び悩むなかで好業績を維持している(関西空港で)

 エルメスやブルガリなど高級ブランドを中心に、20店舗が入る旅客ターミナル3階の免税店街は、2006年度の売上高が前年度比4・6%増の203億円と過去最高を記録した。今年4〜9月も108億円と過去最高で、国際線、国内線を合わせた旅客数が1・3%減となったのに対し、好調ぶりが目立つ。

 好調な要因の一つは、外国人利用客の増加だ。「韓国や中国からの旅行者が、帰国時に多くの買い物をするケースが多い。購買意欲は日本人より旺盛」(ターミナル営業2グループの北林弘幹リーダー)という。

 04年12月に始めた免税店のインターネット予約サービスも、高額な時計など「お目当てのブランド品を確保できる」「限られた時間で買い物ができる」と好評で、4〜9月は前年同期比24%の増収だった。09年3月末までには、94年の開港以降、一度も改装していない出国ゲート付近の店舗も再開発する計画だ。

■飲食・物販・・・大規模改装が奏功

 06年7月に、飲食店街では初めての大規模な改装で誕生した「町家小路」は、関西の有名店など13の飲食店が並んでいる。地元のネタを使ったすし店など、遠方から来た利用者が入りたくなる店や、たこ焼き店など短い時間で立ち寄れる店も誘致し、1年間で2割増収と改装効果が出た。ターミナル営業1グループの熊谷光高部長代理は「回転の良さと利用者の要望を踏まえたテナント構成が当たった」と手応えを感じている。

 物販店も、京都の食器店「たち吉」を入れるなど関西らしさを出している。対岸のりんくうタウンと旅客ターミナルを片道100円で結ぶシャトルバスも運行しており、「りんくうタウンを訪れる買い物客も取り込めれば」(熊谷氏)と空港利用者にとどまらない集客にも期待を寄せる。

■課題・・・限られたスペース

 関空会社が商業施設の充実に力を入れるのは、北米路線の減便や原油高による航空機の小型化などで着陸料収入の大きな伸びが見込めない中、非航空系事業の強化で空港全体の収益力や競争力を高めたいからだ。

 ただ、06年度の売上高のうち非航空系収入が56%を占めるとはいえ、商業施設などの直営事業の比率は18%に過ぎず、多くを連絡橋通行料などに頼っている。

 2期島に旅客ターミナルが建設される見通しは立っていないため、一層の収益拡大には、限られたスペースをさらに有効活用する工夫が求められている。

2007年11月17日  読売新聞)

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