◇「事故は過失でなく殺人」娘2人の命奪われた井上夫妻が講演−−近江八幡
飲酒運転のトラックに追突され、乗用車に乗っていた2人の幼い娘を失った井上保孝さん(57)と妻郁美さん(39)=千葉市=が17日、近江八幡市鷹飼町南のアクティ近江八幡であった「おうみ犯罪被害者支援フォーラム」で講演した。悪質運転の根絶を訴える井上夫妻の話に、来場した市民ら約180人が熱心に聴き入っていた。【近藤希実】
井上夫妻の長女奏子ちゃん(当時3歳)と次女周子ちゃん(当時1歳)は99年11月、箱根へ家族4人で出かけた帰りに、東名高速道路で酒酔い運転の大型トラックに追突され、炎上する乗用車の後部座席で焼死。辛うじて救助された保孝さんも大やけどを負った。
しかし、飲酒運転の常習者だった加害者の男に下った判決は懲役4年。両親は「あまりに命の重みが反映されていない」との憤りから、「生命のメッセージ展」の発案者、鈴木共子さん(58)ら交通事故遺族と署名活動を開始。37万筆の署名を集め、危険運転致死傷罪の新設にこぎ着けた。
保孝さんは「事故は過失じゃなく殺人」と訴え、「何の罪もない子供が、ルールを守らない大人の犠牲になる。いまだ絶えない飲酒運転をなくすためには、大人が変わらないとだめだ」と呼びかけていた。
奏子ちゃんと周子ちゃんの小さなオブジェは、18日まで同市鷹飼町の県立男女共同参画センターで開催中の「生命のメッセージ展」に展示されている。
11月18日朝刊
|