産地・原材料の虚偽表示や賞味期限のラベル付け替えなどの食品を巡る偽装が今年、27都道府県で発覚していたことが毎日新聞のまとめで分かった。消費者の信用を裏切る不正が全国に広がっている実態が浮き彫りになった。
毎日新聞が全国の本社・支局などを通じてまとめた。最も多かったのは産地や原料の偽装。高級料亭などを営む「船場吉兆」(大阪市)のように異なる産地のシールを張って商品を販売したケースや、水産加工会社「磯屋」など佐賀県の2社が中国産のひじきやアマダイを高値がつく長崎産と偽った例もある。兵庫県の「いかりスーパーマーケット」は価格の安い乳用牛を使用したコロッケを「和牛使用」と表示していた。
多くは仕入れコスト削減による利益追求が目的とみられるが台湾産ウナギを国産と偽装していた静岡県吉田町の「マルニうなぎ加工」の大石好一社長は「取引先から『国産でなければ買わない』と言われ、やむなくやった。国産信仰というか産地に変なこだわりを持つ人が増えた」と話した。
賞味・消費期限をめぐる不正も多い。宮城県では、マルハグループの「北州食品」が最大8カ月賞味期限を過ぎた冷凍マグロを加工して販売したり、三重県では平治煎餅本店や太閤餅がそれぞれ売れ残ったせんべいや餅の賞味期限や消費期限を付け替えて販売。包装し直したり、ラベルを張り替える手口で動機は「格安だった冷凍マグロを大量購入したから」(北州食品)や「廃棄するのはもったいないと思った」(太閤餅)のほか、在庫不足などがあった。【鈴木泰広、北川仁士】
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