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太平洋戦争「くせもの」列伝

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太平洋「カツオ船」奮戦戦記

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太平洋戦争「くせもの」列伝(19)鰹漁船
鰹漁船対巡洋艦の奇妙な戦い


 「逃げても無駄だ!」

 艇長・前田儀作兵曹長は「長渡丸」の甲板上に集合した艇員達と茶碗で別れの杯をすると、
 全員で「海行かば」を歌った。

 これは、日本本土爆撃を初めて行なった米機動部隊と日本から遠く離れた太平洋上で、
 七.七ミリ機銃一挺と三八式歩兵銃二挺で戦った監視艇「長渡丸」の話です。

 監視艇といっても実際は鰹漁船です。

 乗員は艇長の前田兵曹長以下十四名。日本海軍は米機動部隊による本土空襲を警戒していました。

 そのために配置されていたのが「黒潮部隊」といわれる徴用された漁船で、
 艇員の半分は漁師でした。

 広い太平洋に七十七隻が三交代で配置された「黒潮部隊」は日本のレーダーの代わりと言っても
 過言ではありません。

 この監視艇が米機動部隊を発見したとしても、
 当時の常識では米軍が航空母艦に陸上用の大型爆撃機を搭載してくるとまでは考えていなかった。

 発見場所と艦載機の航続距離を計算して通常の配備しかしなかったために、
 完全に裏をかかれて本土に侵入を許してしまう結果となります。


 当日、東条首相が乗った輸送機が関東上空で米軍機とすれ違い

 「あれは、アメリカだぞ!」

 ということ話が残っています。

 これは日本が真珠湾攻撃を成功したのと同じように「まさか?」だった。


 監視艇ですが、
 勤務は一週間交代で何一つない水平線上をロープで体を結び双眼鏡で監視。

 米軍は厳重な無線封じをしていましたから
 「敵見ユ」の電信を発信したら最後、
 敵に発見され撃沈は必須という任務でした。

 当時の参謀曰く
 「体当たりの命令はない、逃げてもよかった」といっていたそうですが、
 監視艇の速力は七ノット(約十三キロ)。
 相手は巡洋艦なら二〇ノット(約三七キロ)以上は出る。

 これじゃ逃げられない。

 その「長渡丸」は水平線上に米機動部隊を発見すると、
 即座に「敵航空母艦二隻、巡洋艦二隻見ユ、我攻撃ヲ受ク」と発信。
 それを傍受され二分後には
 「国籍不明の小型船一隻を発見、方位三〇〇度」
 と米機動部隊に発見されてしまいます。

 「長渡丸」の攻撃に、二機の急降下爆撃機と軽巡洋艦が向かった。
 艦砲射撃と急降下爆撃で襲いましたが、「
 長渡丸」は之字運動でこれを巧みにかわした。

 しかし、艦載機からの機銃掃射で鈴木機関兵が胸を撃たれ、
 前田兵曹長は前頭部を撃たれ、さらに通信長斉藤一水も戦死します。
 生き残った中村一水が指揮をとり米空母に体当たりを決意すると
 船内戦死者をすべて海中に投棄したそうです。
 後部船員室には生存者が二名いましたが、
 二人とも互いの胸と首を出刃包丁で刺し違えて自決。

 最初の攻撃から約一時間経過しても、「長渡丸」は洋上に健在であり、
 たった一挺の機銃で艦載機を撃墜しますが、
 機械室から浸水が始まり投入が不可能となると、
 生き残った五人は褌1本で海に飛び込み米空母のスクリュー目掛けて泳ぎました。

 五人はその肉弾での「スクリュー」損傷を狙ったのです。

 米軍巡洋艦艦長は「長渡丸」艇員たちの救助を命令。内火艇が救助に向かいますが、
 生き残った中村一水は闘志むき出で、オールで頭部を一撃されて失神。
 捕虜となります。

 その後、中村一水はハワイに送られ、四ヵ月後には米本土の収容所に送られますが、
 船上から海に飛び込んで脱出。
 が、失敗。
 敗戦まで各収容所を転々として日本に帰りました。


 この時でも日本が勝って開放されたと信じていたとか(汗)。

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